Dream can Pizza true(ドラムカン ピザトゥルー)?!

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4月1日
ドラム缶をピザ窯に変身させたのでした~パチパチパチ~。
季節も新年度の始まり。
改めて皆で仕事とその成果を実感してみよう!とちょっとづつ準備しました。
 さてドラム缶でピザ窯なんてことができるのか?
できるんですね~これが。
是非ご自宅でDIYしてみてください。
1.まず使い古しのドラム缶(200L)を準備します。
注意:オイルは必ず空っぽにしてください。
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2.ピザ窯口と火口を作ります。
要注意!!:ドラム缶の給油口はもちろん、予め水を入れたりしてなかのガスやオイルを抜き取ってください。
    どうしてかというと、サンダー(切断機)や酸素切断機を使うさいに火花が飛びちります。
    外はいいのですが、ドラム缶内部に入った火が中にたまったガスに引火し、爆発する恐れがあるからです。
    知り合いの友人がこれで、鼓膜を破ってしまったと聞きました。非常に危ないです。
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火花は熱く、”アチっアチっ!”となります。特に目の玉は保護しとかないと危険です。
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3.ピザ窯内部に置く、耐熱煉瓦の置き台と置き火台を作成します。
  今回はドラム缶といえども本格的なものを作りたかったので、耐熱煉瓦を備前焼の岡山県から取り寄せました~。
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4.”ドコデモカマ~”とドラえもんのように言いたくなる補助輪つきの荷車を作ります。
  廃材を利用。使えそうで使えない?いろんなものがある農家。使い方は自分次第。
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5.出来上がったら色を塗ります。今回は子供たちの芸術的?作品に仕上げてもらいました。
  下絵を描いて、”ピザ窯は爆発だ~!!”と言える?
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6.ピールって知ってます?あのピザ窯にピザを入れる時の棒に平板がついてるやつ。ピールって言うんですって。
  これは使い古しのスコップを利用。
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  セコイっ!というより、長年土を掘って掘って掘りまっくった、先がすっかり  丸くなってしまった剣さきスコップ。これにまた命を吹き込みます!
  スコップ部分を切断、鉄板を約30cm角で溶接しました。
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  命名:スコッピール!
7.それから本格ピザ生地をコネコネして、寝かしておいて伸ばして、トッピング。
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皆で育て作った当農場の、”春よ恋”と”キタノカオリ”で試作。
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 スコッピールに生地をのせますが、やっぱり鉄板(アルミでもなく、木でもない)なので、生地がつきやすい。
なので、打粉は必要。
  味は?メチャ、メチャ、メチャンコ、美~~~~~味い!!
  正直こんなに美味くできると思ってなかったです
おいしぃ~~~~!!!と子供たちも最高喜んでました。いくらでもイケる!そんな感じ。  
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スタッフも家族も皆笑顔で、皆手作り。小麦粉も一年かけて作った貴重なもの。
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 全て自作自消になってますが、これでもっと楽しいことができればなと早速2号機に取り掛かるのでした~。
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 ドラム缶で本物ピザをもじって、”Dream can Pizza true!!”。
夢もピザも膨らみます!膨らみすぎて爆発するのもあったり?
ドラムカン・ピザトゥル号と命名しました~!!大成功!!   

はるゆたか≦春よ恋≦はるきらり

CIMG1597.JPG「きたほなみ」「はるきらり」という新品種の小麦があるのは3年ほど前からお伝えしてきました。
まだ、「はるきらり」はまだ全道でも数十件の農家しか作っておらず、”普及”という言葉さえもついていない小麦ですが、今後「はるゆたか」と「春よ恋」に負けじとでてくると思います。
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この表は家系図ならぬ、麦系図。親のいいところ、美味しいところ、病気に強いところ。それぞれを兼ね備えた現代のハイブリッドです。
その裏側を探りに、産みの親に会いにいったのでした。
2月15日、JA本別農協青年部の役員研修として北見農業試験場を選定しました。
理由は、これからが旬と本番になる中力系「きたほなみ」とパン用強力小麦の「はるきらり」の栽培について聞きにいったのです。
 北海道の小麦の最有力候補9割以上の作付を誇ってきた小麦「ホクシン」もここから生まれてきたのです。
考えてみたら凄いことなんです。日本の小麦の6割が北海道産。そのうちの9割以上を占める小麦を生みだすところです。もちろん目標とする品種は?
1.美味しくて
2.たくさん収量があって
3.病気につよい
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製パン性もほら、春よ恋やはるゆたかに引けをとってません。
 その昔は”農家が作りやすければそれで良い!”みたいなところもあったのかもしれませんが、”求められる小麦”が時代の主流です。
 それも遺伝子技術をつかって、この小麦の良いところとあっちの小麦の良いところを掛け合わせてみて、最も理想とする小麦だけを選抜。その中でもさらに安定した品質や収量を確保できるものをだすんです。少なくとも10年。親株にも10年。20年越しくらいの長期スパンで育種は行われます。
 ただ心配な点も。
国の出先研究機関だった北海道の各地区の研究所も時代の流れとともに、独立行政法人になりより実績が問われるようになりました。ここまでは大賛成なのですが、育種事業に対する国からの支援が極端にカットされている事実があります。これは国家の存亡にかかわる問題だと大げさでなく思っています。
なぜか?人間と同じでそれぞれの個性がある小麦。
そのいいところを科学の力(実際は地道な人工交配)によっていままでの品種が出てきました。
世界のでの食糧増産のみならず、自国の食糧確保や気候変動に耐えうる強い小麦は全て品種にかかっています。
“美味しくてタフな奴ら”が実際の畑現場にも必要なんです。
こちらや育種に携わる研究員の地道な努力の上に、我々生産者がいて、それを製粉して適正をみながら商品化にする方々やしいては消費者の皆さまがいるんです。
 簡単に金がないから、時間がかかるからといって切っていい予算じゃないと断言できます。
もし本気で、今の政権が日本の小麦の食糧自給率を14%から30%まで上げようという野心的な数字を歌うのなら、黙って育種研究に国の未来を占う投資をすべきで、おおかれ少なかれ10年後には農業者人口は激減。農家よりも種を守りそして攻め続けることが重要だと思います。
 なんでそこまで強調するの?ということですが立派な研究データがあります。
例えば、皆さん大好きなパン用小麦「はるゆたか」
今年もない・ない・売ってない・な~い、どこにあんの~??!!と叫んだんじゃありません?
答え:ない
 一昨年に輪をかけて気象条件は厳しい年になったのはお伝えしてきたとおりです。
その中でも、「はるゆたか」は病気や穂発芽といって熟期がくると種のもつ自然摂理状の発芽症状が起きます。
するとデンプン質が変異してしまい、パンの生地ダレや膨らまない、生地がつながらないなどの結果になってしまいます。これは「はるゆたか」が私はそういう環境変化や湿気に敏感肌なのよ!と主張する個性なので、最悪雨が続いたりすると農家は畑で発芽してダメになっていく小麦を茫然を見つめているしか方法がないんです。
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 試験でも「はるきらり」のデンプンの変化、”低アミロ活性”は他品種に比べると発生しにくく、このあたりが雨に強いタフな奴ということです。
 じゃ、テントかぶせたらいいんじゃないの?という方もいるかも?
テント持ってきてください。かなり足りないことに気づくと思います。それは無理です
 だから品種なんです。
美味しくて、雨に強い。いろんな環境でも生き抜けるDNA。
それを人間が食べちゃうんですよ~罪ですね~。
絶対元気にならなきゃ小麦に申し訳ないです。
 今回は麦類グループの小林研究員に「きたほなみ」の誕生背景と今後の肥料のやり方。下の写真が美味しい小麦をつくりたいと転職までしてきた小林研究員。
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 葉っぱの色で肥料の量を調節する葉色診断のやり方も教わりました。現場に是非持ち帰りたい方法の一つです。
それから、はるきらり」は同課の来嶋さんから説明をいただきました。
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これからもっともっと、春小麦のパンや中華めん、ブレイクしていきましょう!
お忙しいところ、どうもありがとうございました。
 私にとって新発見だったのは、
1.データ上、比較している言葉の”難、やや難、中、やや易、易”などは秋小麦と春小麦でその意味合いが違う度合いだということ。
2.秋小麦で300種、春小麦で200種の育種を北見農試で行っていること。
  スゲェな~。収穫はバインダーか手刈りですって。それから製粉、パンや麺的性もみるんですよ~。
  研究好きしかできない技ですね。
3.カビはほぼ種子伝播はしない。
4.お楽しみの新品種は”北見85号”と春小麦”北見72号”
  まだまだ先の話ですが、厳しい選抜試験を抜けて”小麦ジャパン”のナショナルチームに早く入ってきてほしいものです。サッカーでいうとU-22。今年から本格普及してく「きたほなみ」「ゆめちから」「はるきらり」は新生のナショナルチームなんです。このチームワークも物議をかもしだすくらい楽しみな戦力ですよ~~ふふふ。
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 上記のように美味しい小麦を種から創る人たちがいます。
より美味しくなろう、タフになろうとしてきた親たちもいます。
もちろん、多くの方の応援あっての国産小麦です。
子育てに終わりはありませんよね。国もここにケチはつけてはいけません。
子供手当ならぬ、小麦手当は絶対必要です!!!
しかも、ゆとり教育ではない、超エリート選抜ですよ!
だれか、事業仕分けワーキンググループで言ってやって!私なら言っちゃいます。
農業政策の柱にもなりえる、基礎研究ですから。
当農場も頑張って生産に普及に努めたいと思っています。
こちらもどうぞ宜しくお願いします。
       ↓
cuocaさんにて生産者ブログ好評公開中
 

とかち野酵母&レシピ本

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こんな素晴らしい出会いってあるんですね!小麦粉と酵母。
どっちもパンには当たり前。塩と水があれば最強の自然パンなんですが、その酵母、自前でとるというのはなかなか難しかったようです。
ところが、ヒョンなことからエゾヤマザクラの木に宿った酵母の抽出に成功したんです。
しかも、農業王国十勝が誇る帯広畜産大学の教授が発見して、日本甜菜製糖にて製品化にこぎつけたのでした~。
酵母っていってもなかなか地のものというのは珍しいようで、日本だと白神こだま、あこ酵母、ホシノ酵母とそんなにあるわけじゃないようです。なんせパンを元気にするようなワクワクして、しかもいつもわくわくする安定感をだすような酵母じゃなきゃいけない。それが、十勝の地にあったなんて素晴らしいことですね。
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今月19日には、この”とかち野酵母”を使ったレシピ本を出版した”夢工房y.b.H“の早川喬恵さんの出版記念パーティがあり、私も会に呼んでいただきました。開発者?発見者の帯広畜産大学の小田教授、日甜の田村博士、それから販売先の関係者さんから、早川さんのパン教室の生徒さんたち。皆パンが大好きで、誰もがこの地元の酵母の誕生を祝っているようでした。
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東京でも現在、唯一販売取り扱いがあり、早川さんの東京でのパン教室を催しているパン・お菓子の商材の”Mix&Mix“の田口さんもお祝いに駆けつけてくださいました。人との出会いも酵母もゆっくり、ゆっくり。ですが確実にコツコツと積み重ねることで醸成がなり、味に深みをだすんでしょうね。
早川さんのあいさつでも、”私たちの先祖以前から、100年以上もの間、いやもっとそれ以上の間、この十勝の厳しい自然条件を生き抜き、今十勝の広い畑からとれる小麦と一緒なる出会いに感謝したい。”その通りだと思いました。
小麦粉、水、酵母、塩、空気まで、改めて十勝の素晴らしさに触れられたひと時でした。
ちなみに、早川さんの教室は家庭でも簡単に美味しくできるのが評判。素材の力を活かすところにも魅力いっぱいです。

初雪が根雪になりました。byあきこ

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みなさま、こんにちは。
久しぶりの更新となってしましました。
こちらで、ときどき書かせて頂くことになりました。
あきこです。
どうぞ宜しくお願いします。
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さて、
3日前の14日の朝・・・起きると雪が降っていました。
十勝地方にしては、遅い初雪が根雪となりました。
〝根雪〟というのは、
雪解けの春まで溶けずに残る雪のことだそう。
きたほなみの畑も一面の銀世界です。
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ちょっと掘ってみると、元気な葉がのぞきます。
「よしよし」と確認して、そっと雪を元に戻しました。
寒さの厳しいこの地方では、
雪の下の方が暖かいのです。
しっかりと積もって、小麦を守ってください・・・。
そして、お知らせがあります♪
ホームページをリニューアルいたしました。
前田農産食品合資会社
良かったらご覧くださいませ。
工事中の場所もありますが、現在作成が進行しておりますので、
ちょっとお待ちくださいね。
夫の幼馴染の
池田篤氏の経営するVEJのスタッフの皆様
と篤さんの奥様の麻衣子さんに
にお願いして、制作していただきました。
visua and echo japan
やっとできて嬉しいですっ
ありがとうございました。

輝いて!新麦”はるきらり”

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先日、春春ブラザーズ(勝手につけてます)の春よ恋を無事収穫したとのレポートをさせていただきました。さて、新品種の”はるきらり”はどうだったのか?
8月10日正午から3時半くらいまで収穫を終え、春まき小麦も無事に収穫完了~~パチパチ~。
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 水分はまだ25%近くあり、やはり春よ恋と比べても若干晩生の品種の感じしました。出穂、受粉はほぼ春よ恋と変わらなかった感じがしますが、登熟期までの日数が春よ恋よりも長いのかもしれません。というか、3kmくらいしかはなれてないんだけどもしかすると温度差もあったのか・・・。受粉時期って良かったんだけどな~・・・。下は6月30日ころの花時期。
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茎があまり乾ききっていないので、籾飛ばし(シャフスプレッダ)からや雑穀からでる埃を感じない。
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 春よ恋同様、いやそれ以上にまだ茎に生が残っている感じでしたが、11日ににわか雨それから12日に台風4号来るぞとの予報で再び急ぎの作業となりました。こういうときはめちゃ準備が重要です。春よ恋からのコンバインやら乾燥機やラインの掃除やら、そのぞれの持ち場で男たちが茎やら埃や残った種やの処理や掃除に全速力で向かいます。
それはそれはむさ苦しく、暑いのなんのって。
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7月23日の写真。もうちょっと穂が青い時はホントにキラキラしてますよ~いい眺めです。
ですが、収穫の時ほど緊張感というか、時間が一瞬にしてなくなってしまうくらいの気がします。10日は思いがけず午前中から晴れ、”まだ夜にならないでくれ、雨降っちゃダメ!!”とか無理なことばかり思いながら、ゆっくりと確実にそれでいて迅速に作業は進めなくてはなりません。実際この日は降りませんでした。
 さてその”はるきらり”ちゃんですが、倒伏率2%くらいの軽微な被害で済みました。今年は昨年、うどんこ病(春よ恋よりは弱いです)やら雨にたたられ、早期に倒してしまった反省点を徹底的にケアしてきました。ほぼ病気なくすすんでましたので昨年よりは収量の確保はできそうです。
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8月3日の種の中。ゲゲっ一部赤味がかってきている。なに~早すぎないか~?
 今年は小麦は全般的に干上がる感じでの収穫になりました。タンパクやFN値はどういった傾向になるのか。また問題やら課題やらでいっぱいになりそうです。またそれらについて作り手側(ユーザー)はどう思うのか?ドシドシ粉ラボしていって美味しいパンやお菓子やパスタになればと思います。
 先日の”十勝ベーカリーキャンプ2010“でもシニフィアン・シニフィエの志賀さん、ラ・テールの栄徳さん、はるこまベーカーりーの栗原さん、こなひき小屋の木村さん、それから札幌でパン講師をされているカフェ・ダブリエの森本さんなど多くの方に普及も兼ねて”はるきらり”を使っていただきました。
 粉ラボといえば、昨年産(H21産)の”はるきらり”を多くの方にモニターにてご利用いただきました。
お菓子やパンの材料の“クオカ”さんとモニター販売とアンケート調査を行っていただき、”はるきらり”単独の味と使い勝手をパン焼き・食べ好きの方に聞きました。
北は地元北海道から南は沖縄まで、約400名の方に”はるきらり”についてどう思うか?が聞き取れました。
ご協力いただいたお客様はもちろん、クオカさんにも大変感謝申し上げます。
その時の”はるきらりモニター“(平成21年度産の販売は終了)のサイトはこちらです⇒ポチ
アンケートデータは非常に貴重なご意見だと思い、現在北海道で行われている”麦チェン”事業の中での十勝での取り組み”十勝春まき小麦プロジェクト”(こちらでも十勝住民のはるきらりに対しての意見を集約しています)やこの品種を生みだした試験場の担当官の方にも次の品種改良の一つの材料として活かしていただければとお渡ししてあります。また地元パン屋さんはもちろんのこと、パン教室をやっている”夢工房y.b.h“の早川さんや東京でも粉商材の“mix&mix“さんでも”手作り教室“の生徒さん達に春よ恋とはるきらりの違いを感じていただきました。その時の様子はこちらです⇒ポチ
皆さまどうもありがとうございました。また後日このアンケートやについてもレポートさせていただきたいと思います。
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 8月10日の収穫の様子や春小プロの取り組みが、8月16日の十勝毎日新聞(此間スンゴイ花火大会を主催したローカル紙)に記事になりました。
 ”はるゆたか””春よ恋””はるきらり”と新たな仲間が増えます!
皆さんの手でこの品種をキラリって輝かしちゃってください!!
 

史・上・最・速・”春よ恋” 

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本日は8月14日なので、春まき小麦の収穫どうなった?雨にぬれてないか?心配かけたと思います。
でも大丈夫!しっかり、6,7,8日で収穫を終えました~パチパチパチ~。
ふぅ~冷や汗と8日の収穫直後に降った大雨で、今年の”ツキ”を感じたわけです。
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パン用の小麦は何が違うの?という質問があるとすると、タンパクとでんぷん質の違いがあるようです。特に日本の食文化になくてはならない食パンのあのふわふわ感はタンパク含量が高くないと、パンの高さが出ないようです。そこで農場レベルでやれることは、タンパク源となる窒素肥料を土に与え、作物に吸収してもらうこと。
写真はブロードキャスタと呼ばれる機械で、肥料を散布しています。7月2日くらい。
このころから、出穂と同時に受粉がはじまります。この時期に病気にならないように、殺菌剤を散布します。
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順調と思いきや、春よ恋は全体の4割ほどが倒れてしまいました。今年の反省点のひとつ。毎年いろんなことがおきるんだけど、”何が問題で、いつどうしたらよかったのか?”を考えさせられます。こうなると収穫まで影響があるからです。反省・・・。
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7月23日。この日に別圃場ではパン用小麦(秋まき小麦)の”ゆめちから”を収穫。もちろんまだまだ青粒のまんまですが、今年の6月以降の断続的な高温の日々は、春播き小麦にも影響していました。
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7月31日に”キタノカオリ”を収穫して♪ランランラ・ラン♪とちょっと息ついていたら、8月5日には穂の中に粒があかくなってきてるじゃあ~りませんか?!気になって他の春よ恋の畑にいってみると、”できる!刈れるぞ!”っていう水分。家の近くの6日に収穫したものは、すでに水分17%近く。あとの畑は25%くらい。雨が降らなければあと二日、せめて一日待ちたい気分。
”待てよ、8月上旬の春まき小麦の収穫?しかも6日とかっ?って今までない。”史上最速じゃないですか!初冬播きでもなんでもない、4月17日~19日播きで。普通ならどんなにしたって、お盆にかかるのに・・・。春小麦も秋小麦と同様に、細い麦が多くなる傾向が見られました。
 そういえば、ロシアやウクライナ、ドイツとかもで小麦が干ばつで大幅収量減。政府も輸出禁止にしちゃったな。確かに自国優先だよね、いざとなったら。
北海道もその影響の一部なのかもしれません、今年2010年は。
昨年(2009年)は記録的な大雨(6,7月)で、今年は猛暑。忙しくなってきたなぁ~どうしよう?
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その証拠はこれですよ。茎が青いのに、穂だけが大気の熱風乾燥まけて早く仕上がってしまったんですね。8日は雨予報で、12日くらいには台風4号が来る(結局直接はなし)って天気予報はいってるし。収穫に青信号が灯り、雨が降るまでの一秒を大切に収穫作業におわれたのでした。結果、8月8日午後19:15分に収穫完了。ダンプに最後の春よ恋を入れいている時に大粒の雨が~~~・・・・。
”やっだぁ~勝った(空に対して)、刈りきったぞぉ~!”とホントは助けてもらった(雨雲様にまっててもらった)のに勘違いした感情がほとんど休んでない3日間から湧き出てきたのでした。あとは良い麦、悪い麦を選別してっと。
これでパン屋さんもHBもしっかり、もっちり美味しいパンができるはず。
あとは皆さまにお任せしま~す!春よ恋もまっててくださ~い!!
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p.s.そういえば忙しさにかまけて、息子を今年コンバインにのっけてなかった。
”おどうさん、乗せてぇ~!””おぅお前ものっかぁ~”

キタノカオリ 最高で~~す!!

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7月31日MAX晴れ曜日。
パン用小麦のキタノカオリ様の収穫となった。
ここ4年、キタノカオリ様はご機嫌が悪かった。
しかも、ご機嫌斜めは常時やってくるし、突然豹変することさえある。
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今年は春先の低温でかなり根がやられてしまい、最初はどうなるかと心配する日々が・・。写真のとおり、土が凍結して浮き上がり、クッキーみたいなクラストが表面に出来上がっている。
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こうやって、浮かされた根は冷気や風にやられ麦は淘汰されました・・・
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スゲェ!温かくなると同時に、根が動いてアンカー打つように土の中に栄養求めていきました。でもホントはここで余計なエネルギー使わせちゃったかも。
その豹変さとは何かというと品質に関して。アミロ粘土値といって小麦でん粉の粘性を表すアミログラム最高粘度が標端に低下してしまう。そうすると、パンや麺の生地なんかは、べとつきが生じて作業性が劣るり、作業性の低下はもちろん”膨らまない””生地がきれる、だれる”みたいな現象になるようだ。
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6月12日の写真。茎にまだもぐった状態。今か今かと下からズンズン上がってきます。
 クリミーナ色素をもった独特の小麦、キタノカオリ。昨年平成21年産は全道的に雨のせいでこの傾向は強かったと思う。ご機嫌ななめは常時やってくるとは、受粉から成熟期までの曇天や低い温度でこの傾向(低アミロ)になるし、豹変するとは収穫時の雨によりこの傾向は一気に強まるということなんですぅ。ハマってしまうとクセになる不思議な魅力のあるキタノカオリ様に昨年のものに異変を感じた方もいるんじゃないかと思います。”あれ~HBでも膨らまないな~”と思ったあなた!それが2010年産の味なんです。
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7月2日、受粉の写真。ここの畑が当農場では一番遠い(13km先)ということで、他品種よりも遅め(気温差と品種差)。ちなみに関東の”北海道小麦を考える会”の皆さんが作縁の秋に種を播いていった付近。手播きでめちゃ厚播きされてた(秋は)と思っていましたが春先の低温で淘汰されて丁度良く?なった気がする・・・。上記、種まきの様子はこちら→ポチ
今年はどうだったのか?まだ検査にもだしていないから正確なことは言えませんが、受粉から成熟期までの高温を考えると、また最高の十勝晴れの下、収穫をできたとすると今年はイケてるでしょう!いや、イケてなきゃ困る。かれこれ過去4年ずっと不機嫌だったんだから。オリンピックもワールドカップの周期ぐらいで機嫌よくなってほしいものです。
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段々熟してきましたが今年は暑い。暑すぎました。どの品種も先端の穂に実が充実していない!収量がないのはがっかりですが、例年を上回る質がほしい!ホントに天気による違い、膨らみの違いを私自身感じてみたいのです。
目標はタンパク11.5%、FN値(アミロ粘土値を測る別基準)330超え。他品種だったら決して高い数値じゃないけどどうにかこうにかいって、初心者の人でも、キタノカオリがパッとふくらんで、独自のクリミーカラー生地に、もっちりとした食感を楽しんでもらいたいと思う。ちなみに低アミロでも味は変わらなく美味しいですよ。また、あるパン屋さんは天然酵母との相性もよくて、逆にFN値がそんなに高くなくても、ゆっくり熟成にむかうからいいんだよ。なんて言ってくれた人もいるな。
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あとこのキタノカオリという品種。硬質小麦で硝子質が高く、軟質小麦のホクシン、きたほなみに比べると肌がわるい。というかゴツゴツしてる感じ。これもまた等級を落とす原因にもなります。”問題は性格よね、性格!”とカオリちゃん達は言っているのに・・・日本のこの制度もオカシイ。
 北海道全体でも作付がだんだん減る可能性のある品種。
じゃじゃ馬。気まぐれ娘みたいなところが、可愛く憎たらしい?ところがあるんです。
時に親泣かせ、親不孝、親のスネかじり(言い過ぎた)となりますが食べた時の愛嬌は最高で~~す。苦労をふっとばす美味しさ。今年のお楽しみに~~。
 

Hello, Kitahonami

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前回に北海道小麦の代表格”ホクシン”がほぼ現役を引退することをお伝えした。
新顔になるのは、”きたほなみ”になる。ほぼ間違いなく圧倒的強さで不動の地位を築くにちがいない。
理由は
1.生産者にとって2割増収効果あり・穂発芽強く赤カビにも強い・品質のブレ少ない
2.製粉会社にとっても、品質のブレ少なく、粉部止まりよし製品率の向上
3.加工者にとっても、一定品質の小麦となり、ロットも確保されやすいため安定供給されやすい
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と皆がWINWINな関係にあるかに思える。悪天候時や収量増による助成金(小麦には政府からの助成金がついている)の増大からいっても、コンバインからの麦畑の良さからいっても最高いいことにきまっている。これでASWなんかに負けないどころか、勝っちゃう品種だとするとノーベル小麦新人賞は間違いない。これで日本のうどんも安泰だハッッハッハ~~と笑えたら最高なんだけど。がしかし、そんな簡単でないのが現実だと思う。
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ホクシンよりも成熟期が遅めといっても、播種日の早かったホクシンよりもきたほなみの収穫は早くなった。前回のホクシンのように、成熟期の高温と技量のなさからも細麦傾向となってしまった。
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獲れたて”きたほなみ”。北の大地で穂が波のように揺れる壮大感を表現したネーミングなのか?今年はその感覚をえられなく残念。もっともっと技術をつけていかなきゃいけない。
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”きたほなみ”は7月26,27日に行われた。このように夜業になると、あちらこちらの畑でコンバインのライトや回転灯やバックするときの警告音が、夜の闇にこだまし反響しあう。誰も夜中まで働きたくない。しかし麦と天気に合わせるとこの時期の仕事はやるしかないのだ。
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原麦はこんな感じ。つるつるした楕円形。ホクシンと凄く似ているが、粒径が若干ホクシンより大きい感じがする。これからが楽しみであり、北海道小麦の供給拡大に寄与していくであろう”きたほなみ”
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ということで、きたほなみ(kitahonami)の当農場のパッケージも完成。
販売は”道の駅ステラ☆ほんべつ””帯広藤丸百貨店食品売り場””東京八王子MIX&MIX”で好評発売中です。
主に”お菓子用”として資料いただいている模様。ホットケーキにシフォンなどに利用できます。また先日、伊勢丹新宿店の限定サマーギフト(販売終了済み)では地元帯広の”菓音”さんのスフレカステラの材料になりました。素材の味をだそうと苦心してくれた作品。しっとりと優しく、それでいてもっちりしたタイプのカステラ。他にもめちゃんこ可愛らしいクッキーとかギフトセットとか。全てこだわり素材の手つくり。
 ん~私も何品種も小麦作って結構手間かかってるとおもっていましたが、まだまだ雲の上を走っているような職人に会いました。思いもいっぱい詰まってます。
 一度、クッキーのいろんな粉で作ったものを食べ比べてみましたが、間違いなく”きたほなみ”に味がありました。小麦ってクッキーとかでも表現されるんだなと新たな発見があったのを覚えています。
 どんどん”きたほなみ”の大きなウェーブが広がる予感がします。
 

どうもありがとう!ホクシン

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”ホクシン”と聞いてピンとくるあなたは相当な小麦粉事情通だ。
うどん用として、中力粉の代表格になる。実際はホットケーキやフランス・ドイツパンのハード系もできる小麦だ。実際、うどん文化のある日本の主流品種は中力小麦であるため、パン用強力粉と呼ばれる小麦のほとんどは、カナダ産かアメリカ産である。
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その”最後のホクシン”の収穫が、うちでは7月28日、29日に行われた。上記写真は7月23日。かなり乾燥が進んでいる。
なぜ最後というと、このホクシンという品種は北海道全体で実質今年で生産を終了してしまうのだ。かれこれ20年近くに渡り北海道の代表小麦どころか、実質国産麦の40%近くを供給してきた”The king of Japan’s No1 Wheat”だった(今年平成22年産まで)のだ。
 なぜこれほどまでのスンゴイ小麦ちゃんが名前も知られてないのか?小麦は本来製粉され出荷される。あくまで品種名なので、各製粉会社ではブランドネームが独自であり、また他小麦とブレンドすることにより、加工に適した粉や各年の小麦の品質のバランスをとる必要性があるため”ホクシン”というブランドネームでは売られていない。
 北海道の農家なら知らない人はいないが、町の人もしらない影の巨人。次世代へのバトンタッチの転換期が今年なのです。私が就農したころにはすでにこの品種で、その前のチホク、ホロシリ、タクネなんかは父達の代でやっと小麦つくりが定着したころ。このホクシンデビューで北海道の小麦の安定生産は可能になったといって過言ではないだろう。それまでは、穂発芽や病気やらで品質も収量も安定化しなかったと言われている。
 昨年(平成21年)は収穫時のあまりの雨にたたられ、ホクシンの評判は農家間では落ちてしまったがそれでもこの品種がなかったらどうなっていたんだろう?うちも今の状態じゃなかったんじゃないかなと思ったりした。これだけのロングセラーの品種を世に輩出した北見農業試験場の人はエライ!!北海道ノーベル小麦賞ものだ。
 あっ、収穫、収穫。正直な話でいうと29日が曇り雨ということで、こちらは感謝をかなり忘れて大急ぎで収穫に向かった。水分は3枚の圃場で水分は20~25%。明日の雨を考えたら一秒も無駄にできない、夜には露も上がってくるし。コンバインもトラックも乾燥機も、もちろん人間も絶対に壊れちゃいけない状況に陥り・・・。
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 ホクシンも”きたほなみ”も実際には、実が細い麦(細粒)が多く見られました。今年は5月まで寒く、6月、7月急激に温度が上昇。特に受粉時(6月20日くらい)以降の成熟期、登熟期にむけて最高気温が30度以上の日が例年以上に多く、急に干上がってしまうような状況になったのかもしれません。確かに、普段通りの9月下旬に種まきして、7月25日前後に収穫してるとなると、3~5日くらい早まったくらいだし、途中の5月は寒くて約5日くらい生育が遅れているっていってたもんな~。作物もゆっくりしていいだか、早くしていいんだか混乱してるべな。写真は6月27日花も終わり、乳熟期に突入。ところが暑い日々が~~!
 28日は頑張って朝4時(収穫2時)まで。29日は雨をまってられないため朝6時から収穫。すべては7月27日の午後からの雨で計算が狂ってきたのでした。この日の雨は誰も聞いていない!!天気予報も全く言ってない!!これだけ晴れれば急な雷雨の発生もあり得るのはわかるけど・・・。
 29日にホクシンは無事収穫を終え、最後の圃場は持ってくれた天気にも、そしてホクシンにも感謝をささげ、”お疲れ様でした~いままでありがとね~”と思いました。きっと私にとっては、就農してから一代大きく品種が変わるだけなのでそんなんでもないのかもしれませんが、父世代にとってはかれこれ3,4代目くらいになるので、感慨もひとしおの農家さんもいるかと思った。
 Thank you very much, “Hokushin”
P.S.ちなみにホクシンは全道の一部で生産が残ると報道されています。全粒粉を好んで使うパン屋さんも”あのフスマの香がなんともいいんだよ!”という方もいたり。やっぱり麦の美味しさって外皮にも秘密がありそうです。

♪お日様ぶりぃ~ね~♪

5月29日はやや久しぶり、約1週間ぶりに良い天気となりました~パチパチ、ホっーとしている農家さんも多いのでは。昨日の天気予報では、最低気温がマイナス1℃で危機一髪で祈るような朝をむかえたことでしょう。”朝から風が吹いているーーー!!”これで、霜の恐れはなくなっていました。ラッキーというか人騒がせな天気です。
ということで、皆の無事を確認しにいきました。
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春よ恋、一応無事。一部冠水でしたが3m四方。
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”はるきらり”も心配なし。やっと雑草たちも生えてきている感じ。
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”きたほなみ””ホクシン”もOK。やっと追肥から養分を吸収しはじめた顔してきてます。
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ビートもほっとするぐらい元気で安心です。風がふいていなかったら・・・霜に当たってご臨終だったらどうしようかと、確認するまで不安なのですね。豆類よりは寒さに強いので、そう簡単にはしにましぇんけど。
これから一週間晴れるそうです。
明日から遅れている小豆の種まき作業開始です。