しかも、今年初めての”気づき”がありました。莢が4つ分、ぼこぼこしてます。
“祝黒”とよばれる黒大豆に4粒を発見!!すげぇ~大豆って四つなるんだ~とうちの畑では過去に見たことがなかったのでうれしくなっちゃいました。枝豆だって、なかなか4粒のはとって食べたことないでしょう?
カールおじさんとかがでてきたくらい嬉しい出来事でした。
途中、今年もこの一帯で大発生したマイマイガの大群に襲われたり、カナブンに葉っぱをおすそ分けしてあげたりとありました。また晩も温かい日が続いたため、大豆はグイグイ伸びたのです。
上記は”止めカルチ”といって収穫しやすいように+根域の排水を促すため、培土(土を盛り上げること)しています。
ほんの1日や二日遅れていると、畝全体が大豆で覆われて、トラクターで処理しづらくなります。
またこの頃には、根には根粒圏という世界が広がって、空気中の窒素を自らの養分にこたえられっル素晴らしい作物だ。
9月30日には、豆がすっかりふくらんで、紫がかったような豆が出来上がっていました。
収穫は、10月15日からスタート。水分が19~22%まででしたが、2,3日晴れ間が続くと一気に17%くらいまで乾いていきます。そうすると、皮切れや豆の割れなどに影響してきます。ホントにベストタイミングとしたら2日くらいしかないのが大豆の難しいところです。
“ゆめちから”の力
日本のパン用小麦の自給率は1%以下。
パン用や中華めん用となるタンパクの高い強力小麦はそんなにないんです。
そこで登場するのが新品種”ゆめちから”
何度かブログでも登場していますが、”ゆめちから”の持つ潜在能力はかなり高そうです。
見た目は硬質小麦らしいゴツゴツ系。小麦は見た目じゃありません。挽いて粉にナンボの世界。今回の戸別補償政策にも、パン用小麦の自給率を高めようじゃないか!!!という日本政府の意気込みを感じる政策価格が提示されました。
しかし、これで来年産からザックザック、パン用できるかなというのは早すぎます。
今年はこの品種は試験(北海道では・・・)。しかも他の強力系品種も種の供給が思うように進まず(今年の低収量から)、物凄いはずみにはあと2,3年かかると思われます。しかし、オカミ(御上)の姿勢は本気モードです。やっとパン用小麦生産農家の思いが伝わる気がしています。
さて、その”ゆめちから”を9月24日、7kg/反で播きました。
昨年産の感じからだと、以外に倒れないのですが、分けつした穂が混み過ぎるのを嫌ってと、貴重な種のひきのばし?を狙ってです。
いつもどうりの”整地+種まき”合体型の機械で播種。
種の深さもチェックして~っと。2cmくらいかな。
やばぁ~途中で詰まってるぅ~。指導不足だな、反省です。傾斜や土の起伏は気をつけなきゃなりません。また機械の特性も知ることは重要です。
でも大丈夫でした~!ふぅ(汗)。小麦が出てくるまでどう仕事をしたかは経験をつまないと分かりません。
我が家の”ゆめちから”達。補足:実際もう一人います。
この小麦子の特性は?
その名のとおり、超強力粉なんですって。日本人の好きな”超”を入れちゃいました。
めっちゃ窯のびします!
パンも夢も希望も自給率も?超膨らませる!?魅惑の小麦が誕生します。
生産者もユーザーも国も皆がわくわくする小麦ですね~。
超膨らみすぎるのにお困りのあなた。ご安心を。”きたほなみ”で程よいバランスが保てるんです。
“きたのおとめ”って誰?
“きたのおとめ”と聞いて私?!と思ってはいけません。
それは小豆の品種のこと。北海道産小豆使用とか、十勝産小豆使用という言葉にはその裏もあります。
北海道を代表する”エリモショウズ”は、文字通り襟裳岬のような寒冷地でも立派に育つたくましさがある品種ですが、病気に若干弱いところがあり、まづ連作を続けるようなことはしません。きたのおとめも病気につよいといっても油断は禁物。
”きたのおとめ”はエリモショウズを母親に、父方に落葉病に強い製餡適正の高い品種。
今年はこの2品種を育ててみてました。きたのおとめは7年ぶりの畑。エリモは9年越しの畑をチョイスしてみました。
発芽して子葉の間から本葉がでてきてます。茎葉についている斑点は、雨ふったあとにはねた泥です。
途中3度のカルチといって除草作業を機械で行い・・・。雑草を取るのと、水はけを良くするよう心がけますが、機械処理ですので、運転の仕方や機械の調整によっては大失敗することもあります。土の水分、雑草の草丈や種類、その後の天気と作物の成長などいろんな要素の組み合わせがあって最終的な評価になる作業です。
援農さんのベテランパートさんに2回圃場の草取りをしてもらいました。
この作業は今年大変きつく、まず急激に6月から暑い日が続き、さらに雑草の成長スピードもかなりの速さ。
広い畑を一歩一歩確認、雑草を確認しながらの作業です。収穫を楽しみにしなければなかなか続かない仕事です。
黄色い花が咲いたら、莢がつきだすサイン。小豆は大豆や金時と違い、長時間にかけて花が下にも上にもつきます。
今年は暑いせいなのか、莢つきは多く、しかしながら莢の長さが短い感じ。
平年よりも10~15日くらい早い成長をみせて、あっという間に畝がふさがってしまった感じ。
晴れた日が大好きな豆類なので受粉時期に晴れているのは最高。でも暑すぎて熟期まで早まってしまうのでした />
莢の中の種もすっかり赤味を帯びて、美味しさを感じます。今年は実は熟して、茎葉が青々とした収穫となりました。
それは次のレポートで。これがきたのおとめちゃん。食べたくなるくらい可愛いでしょ?
輝いて!新麦”はるきらり”
先日、春春ブラザーズ(勝手につけてます)の春よ恋を無事収穫したとのレポートをさせていただきました。さて、新品種の”はるきらり”はどうだったのか?
8月10日正午から3時半くらいまで収穫を終え、春まき小麦も無事に収穫完了~~パチパチ~。
水分はまだ25%近くあり、やはり春よ恋と比べても若干晩生の品種の感じしました。出穂、受粉はほぼ春よ恋と変わらなかった感じがしますが、登熟期までの日数が春よ恋よりも長いのかもしれません。というか、3kmくらいしかはなれてないんだけどもしかすると温度差もあったのか・・・。受粉時期って良かったんだけどな~・・・。下は6月30日ころの花時期。
茎があまり乾ききっていないので、籾飛ばし(シャフスプレッダ)からや雑穀からでる埃を感じない。
春よ恋同様、いやそれ以上にまだ茎に生が残っている感じでしたが、11日ににわか雨それから12日に台風4号来るぞとの予報で再び急ぎの作業となりました。こういうときはめちゃ準備が重要です。春よ恋からのコンバインやら乾燥機やラインの掃除やら、そのぞれの持ち場で男たちが茎やら埃や残った種やの処理や掃除に全速力で向かいます。
それはそれはむさ苦しく、暑いのなんのって。
7月23日の写真。もうちょっと穂が青い時はホントにキラキラしてますよ~いい眺めです。
ですが、収穫の時ほど緊張感というか、時間が一瞬にしてなくなってしまうくらいの気がします。10日は思いがけず午前中から晴れ、”まだ夜にならないでくれ、雨降っちゃダメ!!”とか無理なことばかり思いながら、ゆっくりと確実にそれでいて迅速に作業は進めなくてはなりません。実際この日は降りませんでした。
さてその”はるきらり”ちゃんですが、倒伏率2%くらいの軽微な被害で済みました。今年は昨年、うどんこ病(春よ恋よりは弱いです)やら雨にたたられ、早期に倒してしまった反省点を徹底的にケアしてきました。ほぼ病気なくすすんでましたので昨年よりは収量の確保はできそうです。
8月3日の種の中。ゲゲっ一部赤味がかってきている。なに~早すぎないか~?
今年は小麦は全般的に干上がる感じでの収穫になりました。タンパクやFN値はどういった傾向になるのか。また問題やら課題やらでいっぱいになりそうです。またそれらについて作り手側(ユーザー)はどう思うのか?ドシドシ粉ラボしていって美味しいパンやお菓子やパスタになればと思います。
先日の”十勝ベーカリーキャンプ2010“でもシニフィアン・シニフィエの志賀さん、ラ・テールの栄徳さん、はるこまベーカーりーの栗原さん、こなひき小屋の木村さん、それから札幌でパン講師をされているカフェ・ダブリエの森本さんなど多くの方に普及も兼ねて”はるきらり”を使っていただきました。
粉ラボといえば、昨年産(H21産)の”はるきらり”を多くの方にモニターにてご利用いただきました。
お菓子やパンの材料の“クオカ”さんとモニター販売とアンケート調査を行っていただき、”はるきらり”単独の味と使い勝手をパン焼き・食べ好きの方に聞きました。
北は地元北海道から南は沖縄まで、約400名の方に”はるきらり”についてどう思うか?が聞き取れました。
ご協力いただいたお客様はもちろん、クオカさんにも大変感謝申し上げます。
その時の”はるきらりモニター“(平成21年度産の販売は終了)のサイトはこちらです⇒ポチ
アンケートデータは非常に貴重なご意見だと思い、現在北海道で行われている”麦チェン”事業の中での十勝での取り組み”十勝春まき小麦プロジェクト”(こちらでも十勝住民のはるきらりに対しての意見を集約しています)やこの品種を生みだした試験場の担当官の方にも次の品種改良の一つの材料として活かしていただければとお渡ししてあります。また地元パン屋さんはもちろんのこと、パン教室をやっている”夢工房y.b.h“の早川さんや東京でも粉商材の“mix&mix“さんでも”手作り教室“の生徒さん達に春よ恋とはるきらりの違いを感じていただきました。その時の様子はこちらです⇒ポチ
皆さまどうもありがとうございました。また後日このアンケートやについてもレポートさせていただきたいと思います。
8月10日の収穫の様子や春小プロの取り組みが、8月16日の十勝毎日新聞(此間スンゴイ花火大会を主催したローカル紙)に記事になりました。
”はるゆたか””春よ恋””はるきらり”と新たな仲間が増えます!
皆さんの手でこの品種をキラリって輝かしちゃってください!!
ソムリエ達必見!第二回・世界料理学会とは?
第二回世界料理学会が北海道の函館市で9月13日、14日開催されます。
13日夜には、開催記念パーティーもあるようです。
というか、その世界料理学会って何?という方はこちらをみてください。⇒”世界料理学会inHAKODATE”
なかなかこういったイベントを地域でやるというのはそう簡単なことではないはず。
まず必要条件は”食を愛する人がいて””地元の食を大切に思う人がいて””それを自らも楽しみ他に伝える人”がいること。それに気候や風土、郷土の食材とその土地ならではの良さを知る人や知ってみたい人たちが集う会だからです。
私も函館=イカ踊り=五稜郭=100万ドルの夜景と連想されるものが凄く乏しい(スミマセン・・・)のですが、”美食のまち・函館”をコンセプトに現地の”熱いロマンをもた料理人たちが熱き料理仲間たちを呼び、語らい、食し、楽しむというイベントのようです。
日本には様々な国の料理があり、日本人くらいなんでも食に順応できる民族って他にないんじゃないかなと思います。今回日本のシェフはもちろん、アメリカ、フランス、イタリア、スペインや病院の先生からジャーナリストまで、幅広く”食”についての語らいがあるようです。
イベントのきっかけを知ったのは、函館と七飯町にあるパン屋”こなひき小屋”の木村さんにイベントを先日紹介していただきました。また、前年にはあるカレンダーをいただき”何だこれは?”と思ったのを覚えています。だって、なんかいろんな料理人らしき人がカレンダーにのっているすごくローカルチックなものでした。お話を聞くまでしらなかったのですが、この世界料理学会の必殺仕掛け人達、ご本人たちなんです。
通常ならこういうのって、行政とかが入って半ば予算ついたから無理やり決行!の雰囲気が漂ううのですが、これは完全に民間。美食のまち・函館を北海道に日本に、世界に発信したいという熱い気持ちをもった料理人たちがそれぞれのジャンルでの新進気鋭の料理仲間を函館に呼んじゃって、語って、食して楽しもうというもの。来る面々も業界の方なら皆有名な方です。先日、当農場にも寄っていただいた、シニフィアン・シニフィエの志賀さんもその中の一人。
郷土愛から生まれる食の祭典、勉強にもお腹にも、なによりも素敵な出会いに会えそうです。
函館ってスゲェ!!
史・上・最・速・”春よ恋”
本日は8月14日なので、春まき小麦の収穫どうなった?雨にぬれてないか?心配かけたと思います。
でも大丈夫!しっかり、6,7,8日で収穫を終えました~パチパチパチ~。
ふぅ~冷や汗と8日の収穫直後に降った大雨で、今年の”ツキ”を感じたわけです。
パン用の小麦は何が違うの?という質問があるとすると、タンパクとでんぷん質の違いがあるようです。特に日本の食文化になくてはならない食パンのあのふわふわ感はタンパク含量が高くないと、パンの高さが出ないようです。そこで農場レベルでやれることは、タンパク源となる窒素肥料を土に与え、作物に吸収してもらうこと。
写真はブロードキャスタと呼ばれる機械で、肥料を散布しています。7月2日くらい。
このころから、出穂と同時に受粉がはじまります。この時期に病気にならないように、殺菌剤を散布します。
順調と思いきや、春よ恋は全体の4割ほどが倒れてしまいました。今年の反省点のひとつ。毎年いろんなことがおきるんだけど、”何が問題で、いつどうしたらよかったのか?”を考えさせられます。こうなると収穫まで影響があるからです。反省・・・。
7月23日。この日に別圃場ではパン用小麦(秋まき小麦)の”ゆめちから”を収穫。もちろんまだまだ青粒のまんまですが、今年の6月以降の断続的な高温の日々は、春播き小麦にも影響していました。
7月31日に”キタノカオリ”を収穫して♪ランランラ・ラン♪とちょっと息ついていたら、8月5日には穂の中に粒があかくなってきてるじゃあ~りませんか?!気になって他の春よ恋の畑にいってみると、”できる!刈れるぞ!”っていう水分。家の近くの6日に収穫したものは、すでに水分17%近く。あとの畑は25%くらい。雨が降らなければあと二日、せめて一日待ちたい気分。
”待てよ、8月上旬の春まき小麦の収穫?しかも6日とかっ?って今までない。”史上最速じゃないですか!初冬播きでもなんでもない、4月17日~19日播きで。普通ならどんなにしたって、お盆にかかるのに・・・。春小麦も秋小麦と同様に、細い麦が多くなる傾向が見られました。
そういえば、ロシアやウクライナ、ドイツとかもで小麦が干ばつで大幅収量減。政府も輸出禁止にしちゃったな。確かに自国優先だよね、いざとなったら。
北海道もその影響の一部なのかもしれません、今年2010年は。
昨年(2009年)は記録的な大雨(6,7月)で、今年は猛暑。忙しくなってきたなぁ~どうしよう?
その証拠はこれですよ。茎が青いのに、穂だけが大気の熱風乾燥まけて早く仕上がってしまったんですね。8日は雨予報で、12日くらいには台風4号が来る(結局直接はなし)って天気予報はいってるし。収穫に青信号が灯り、雨が降るまでの一秒を大切に収穫作業におわれたのでした。結果、8月8日午後19:15分に収穫完了。ダンプに最後の春よ恋を入れいている時に大粒の雨が~~~・・・・。
”やっだぁ~勝った(空に対して)、刈りきったぞぉ~!”とホントは助けてもらった(雨雲様にまっててもらった)のに勘違いした感情がほとんど休んでない3日間から湧き出てきたのでした。あとは良い麦、悪い麦を選別してっと。
これでパン屋さんもHBもしっかり、もっちり美味しいパンができるはず。
あとは皆さまにお任せしま~す!春よ恋もまっててくださ~い!!
p.s.そういえば忙しさにかまけて、息子を今年コンバインにのっけてなかった。
”おどうさん、乗せてぇ~!””おぅお前ものっかぁ~”
キタノカオリ 最高で~~す!!
7月31日MAX晴れ曜日。
パン用小麦のキタノカオリ様の収穫となった。
ここ4年、キタノカオリ様はご機嫌が悪かった。
しかも、ご機嫌斜めは常時やってくるし、突然豹変することさえある。
今年は春先の低温でかなり根がやられてしまい、最初はどうなるかと心配する日々が・・。写真のとおり、土が凍結して浮き上がり、クッキーみたいなクラストが表面に出来上がっている。
こうやって、浮かされた根は冷気や風にやられ麦は淘汰されました・・・
スゲェ!温かくなると同時に、根が動いてアンカー打つように土の中に栄養求めていきました。でもホントはここで余計なエネルギー使わせちゃったかも。
その豹変さとは何かというと品質に関して。アミロ粘土値といって小麦でん粉の粘性を表すアミログラム最高粘度が標端に低下してしまう。そうすると、パンや麺の生地なんかは、べとつきが生じて作業性が劣るり、作業性の低下はもちろん”膨らまない””生地がきれる、だれる”みたいな現象になるようだ。
6月12日の写真。茎にまだもぐった状態。今か今かと下からズンズン上がってきます。
クリミーナ色素をもった独特の小麦、キタノカオリ。昨年平成21年産は全道的に雨のせいでこの傾向は強かったと思う。ご機嫌ななめは常時やってくるとは、受粉から成熟期までの曇天や低い温度でこの傾向(低アミロ)になるし、豹変するとは収穫時の雨によりこの傾向は一気に強まるということなんですぅ。ハマってしまうとクセになる不思議な魅力のあるキタノカオリ様に昨年のものに異変を感じた方もいるんじゃないかと思います。”あれ~HBでも膨らまないな~”と思ったあなた!それが2010年産の味なんです。
7月2日、受粉の写真。ここの畑が当農場では一番遠い(13km先)ということで、他品種よりも遅め(気温差と品種差)。ちなみに関東の”北海道小麦を考える会”の皆さんが作縁の秋に種を播いていった付近。手播きでめちゃ厚播きされてた(秋は)と思っていましたが春先の低温で淘汰されて丁度良く?なった気がする・・・。上記、種まきの様子はこちら→ポチ
今年はどうだったのか?まだ検査にもだしていないから正確なことは言えませんが、受粉から成熟期までの高温を考えると、また最高の十勝晴れの下、収穫をできたとすると今年はイケてるでしょう!いや、イケてなきゃ困る。かれこれ過去4年ずっと不機嫌だったんだから。オリンピックもワールドカップの周期ぐらいで機嫌よくなってほしいものです。
段々熟してきましたが今年は暑い。暑すぎました。どの品種も先端の穂に実が充実していない!収量がないのはがっかりですが、例年を上回る質がほしい!ホントに天気による違い、膨らみの違いを私自身感じてみたいのです。
目標はタンパク11.5%、FN値(アミロ粘土値を測る別基準)330超え。他品種だったら決して高い数値じゃないけどどうにかこうにかいって、初心者の人でも、キタノカオリがパッとふくらんで、独自のクリミーカラー生地に、もっちりとした食感を楽しんでもらいたいと思う。ちなみに低アミロでも味は変わらなく美味しいですよ。また、あるパン屋さんは天然酵母との相性もよくて、逆にFN値がそんなに高くなくても、ゆっくり熟成にむかうからいいんだよ。なんて言ってくれた人もいるな。
あとこのキタノカオリという品種。硬質小麦で硝子質が高く、軟質小麦のホクシン、きたほなみに比べると肌がわるい。というかゴツゴツしてる感じ。これもまた等級を落とす原因にもなります。”問題は性格よね、性格!”とカオリちゃん達は言っているのに・・・日本のこの制度もオカシイ。
北海道全体でも作付がだんだん減る可能性のある品種。
じゃじゃ馬。気まぐれ娘みたいなところが、可愛く憎たらしい?ところがあるんです。
時に親泣かせ、親不孝、親のスネかじり(言い過ぎた)となりますが食べた時の愛嬌は最高で~~す。苦労をふっとばす美味しさ。今年のお楽しみに~~。
Hello, Kitahonami
前回に北海道小麦の代表格”ホクシン”がほぼ現役を引退することをお伝えした。
新顔になるのは、”きたほなみ”になる。ほぼ間違いなく圧倒的強さで不動の地位を築くにちがいない。
理由は
1.生産者にとって2割増収効果あり・穂発芽強く赤カビにも強い・品質のブレ少ない
2.製粉会社にとっても、品質のブレ少なく、粉部止まりよし製品率の向上
3.加工者にとっても、一定品質の小麦となり、ロットも確保されやすいため安定供給されやすい
と皆がWINWINな関係にあるかに思える。悪天候時や収量増による助成金(小麦には政府からの助成金がついている)の増大からいっても、コンバインからの麦畑の良さからいっても最高いいことにきまっている。これでASWなんかに負けないどころか、勝っちゃう品種だとするとノーベル小麦新人賞は間違いない。これで日本のうどんも安泰だハッッハッハ~~と笑えたら最高なんだけど。がしかし、そんな簡単でないのが現実だと思う。
ホクシンよりも成熟期が遅めといっても、播種日の早かったホクシンよりもきたほなみの収穫は早くなった。前回のホクシンのように、成熟期の高温と技量のなさからも細麦傾向となってしまった。
獲れたて”きたほなみ”。北の大地で穂が波のように揺れる壮大感を表現したネーミングなのか?今年はその感覚をえられなく残念。もっともっと技術をつけていかなきゃいけない。
”きたほなみ”は7月26,27日に行われた。このように夜業になると、あちらこちらの畑でコンバインのライトや回転灯やバックするときの警告音が、夜の闇にこだまし反響しあう。誰も夜中まで働きたくない。しかし麦と天気に合わせるとこの時期の仕事はやるしかないのだ。
原麦はこんな感じ。つるつるした楕円形。ホクシンと凄く似ているが、粒径が若干ホクシンより大きい感じがする。これからが楽しみであり、北海道小麦の供給拡大に寄与していくであろう”きたほなみ”
ということで、きたほなみ(kitahonami)の当農場のパッケージも完成。
販売は”道の駅ステラ☆ほんべつ””帯広藤丸百貨店食品売り場””東京八王子MIX&MIX”で好評発売中です。
主に”お菓子用”として資料いただいている模様。ホットケーキにシフォンなどに利用できます。また先日、伊勢丹新宿店の限定サマーギフト(販売終了済み)では地元帯広の”菓音”さんのスフレカステラの材料になりました。素材の味をだそうと苦心してくれた作品。しっとりと優しく、それでいてもっちりしたタイプのカステラ。他にもめちゃんこ可愛らしいクッキーとかギフトセットとか。全てこだわり素材の手つくり。
ん~私も何品種も小麦作って結構手間かかってるとおもっていましたが、まだまだ雲の上を走っているような職人に会いました。思いもいっぱい詰まってます。
一度、クッキーのいろんな粉で作ったものを食べ比べてみましたが、間違いなく”きたほなみ”に味がありました。小麦ってクッキーとかでも表現されるんだなと新たな発見があったのを覚えています。
どんどん”きたほなみ”の大きなウェーブが広がる予感がします。
どうもありがとう!ホクシン
”ホクシン”と聞いてピンとくるあなたは相当な小麦粉事情通だ。
うどん用として、中力粉の代表格になる。実際はホットケーキやフランス・ドイツパンのハード系もできる小麦だ。実際、うどん文化のある日本の主流品種は中力小麦であるため、パン用強力粉と呼ばれる小麦のほとんどは、カナダ産かアメリカ産である。
その”最後のホクシン”の収穫が、うちでは7月28日、29日に行われた。上記写真は7月23日。かなり乾燥が進んでいる。
なぜ最後というと、このホクシンという品種は北海道全体で実質今年で生産を終了してしまうのだ。かれこれ20年近くに渡り北海道の代表小麦どころか、実質国産麦の40%近くを供給してきた”The king of Japan’s No1 Wheat”だった(今年平成22年産まで)のだ。
なぜこれほどまでのスンゴイ小麦ちゃんが名前も知られてないのか?小麦は本来製粉され出荷される。あくまで品種名なので、各製粉会社ではブランドネームが独自であり、また他小麦とブレンドすることにより、加工に適した粉や各年の小麦の品質のバランスをとる必要性があるため”ホクシン”というブランドネームでは売られていない。
北海道の農家なら知らない人はいないが、町の人もしらない影の巨人。次世代へのバトンタッチの転換期が今年なのです。私が就農したころにはすでにこの品種で、その前のチホク、ホロシリ、タクネなんかは父達の代でやっと小麦つくりが定着したころ。このホクシンデビューで北海道の小麦の安定生産は可能になったといって過言ではないだろう。それまでは、穂発芽や病気やらで品質も収量も安定化しなかったと言われている。
昨年(平成21年)は収穫時のあまりの雨にたたられ、ホクシンの評判は農家間では落ちてしまったがそれでもこの品種がなかったらどうなっていたんだろう?うちも今の状態じゃなかったんじゃないかなと思ったりした。これだけのロングセラーの品種を世に輩出した北見農業試験場の人はエライ!!北海道ノーベル小麦賞ものだ。
あっ、収穫、収穫。正直な話でいうと29日が曇り雨ということで、こちらは感謝をかなり忘れて大急ぎで収穫に向かった。水分は3枚の圃場で水分は20~25%。明日の雨を考えたら一秒も無駄にできない、夜には露も上がってくるし。コンバインもトラックも乾燥機も、もちろん人間も絶対に壊れちゃいけない状況に陥り・・・。
ホクシンも”きたほなみ”も実際には、実が細い麦(細粒)が多く見られました。今年は5月まで寒く、6月、7月急激に温度が上昇。特に受粉時(6月20日くらい)以降の成熟期、登熟期にむけて最高気温が30度以上の日が例年以上に多く、急に干上がってしまうような状況になったのかもしれません。確かに、普段通りの9月下旬に種まきして、7月25日前後に収穫してるとなると、3~5日くらい早まったくらいだし、途中の5月は寒くて約5日くらい生育が遅れているっていってたもんな~。作物もゆっくりしていいだか、早くしていいんだか混乱してるべな。写真は6月27日花も終わり、乳熟期に突入。ところが暑い日々が~~!
28日は頑張って朝4時(収穫2時)まで。29日は雨をまってられないため朝6時から収穫。すべては7月27日の午後からの雨で計算が狂ってきたのでした。この日の雨は誰も聞いていない!!天気予報も全く言ってない!!これだけ晴れれば急な雷雨の発生もあり得るのはわかるけど・・・。
29日にホクシンは無事収穫を終え、最後の圃場は持ってくれた天気にも、そしてホクシンにも感謝をささげ、”お疲れ様でした~いままでありがとね~”と思いました。きっと私にとっては、就農してから一代大きく品種が変わるだけなのでそんなんでもないのかもしれませんが、父世代にとってはかれこれ3,4代目くらいになるので、感慨もひとしおの農家さんもいるかと思った。
Thank you very much, “Hokushin”
P.S.ちなみにホクシンは全道の一部で生産が残ると報道されています。全粒粉を好んで使うパン屋さんも”あのフスマの香がなんともいいんだよ!”という方もいたり。やっぱり麦の美味しさって外皮にも秘密がありそうです。
幸運の”ゆめちから”収穫を麦師たちと共に!!
7月23日。天気予報では曇り雨曜日とのことでしたが、奇跡が起こりました~パチパチ~。24,25が曇り傘模様の予報ともあったり、うちも品種がいろいろあって掃除に何時間もかかるため、満を持さなきゃなりません。この時とばかりに2010麦刈りの始まりです。
しかも応援にシニフィアン・シニフィエの志賀さん、ラ・テールの栄徳さんらも駆けつけてくれました。かなりの晴れ男達とBCキャンプでも噂になってます(謎)。十勝BCキャンプの講師を前日の二日間行い、チャンスがあればと思っていましたが本当にその日が来るとは思いませんでした。奇跡の天気にも最高に恵まれよい思い出になりました。遠いところ足を運んでいただき、誠にありがとうございました。
ということで”ゆめちから収穫いきま~~す!!”
といっても、去年の悪天候の痛手(特にキタノカオリ事件が痛かった~)で、コンバインのロクロク(66)は大変なことになっていました。それはそれは可愛そうな、土の塊やら春小麦のヒゲやらカピカピになった茎やらありとあらゆるものが腹の中にたまっていました。それを根気よく力ずくで除去し、事前に掃除・掃除の後のこと。機械の中は大変狭く、メタボってしまうと非常にやりづらくなります。
目の前の”ゆめちから”畑に出陣です。早速試し刈り。何度か粒が未脱穀がないかを確かめながら進ませます。早速トラブル発生。コンバインには刈り取り部分をヘッダー(頭)といい、こちらにクルクル回転するリールという装置がついています。小麦を掻きこむ役目があるのですが、これは小麦が倒れている時やスムーズな穀物の飲み込みには欠かすことのできない装置です。昨年は小麦の倒れがひどく、リールを前に押し出したまま長時間使用したため、駆動しているベルトが伸びに伸び、リールが回らない状態に。最初我慢しよう!と思っていましたが、結局この後のことも考えると修理せざるおえませんでした。
早速、シニシニの志賀さんにコンバインにのってもらいました。地上からみるのと実際にコンバインにのるのとでは風景が違います。実際に小麦収穫のタイミングに会うなんて、さすが麦師として”もってるな~”と思いました。
こちらラ・テールの栄徳さん。どうやら全国各地の麦畑を行き来したり、フランスの圃場まで行ったりと現地現物にこだわる若手職人さん。コンバインにも何度かのったことあるようで手慣れた感じでした。
喜んで運転しているのは各店舗のスタッフさん。”きゃっきゃっ”言って麦刈を楽しんでもらいました。
ちなみにシニシニの志賀さんには、当農場の”春よ恋”で”花豆のブリオッシュ”を作っていただいております。
こちらの商品は伊勢丹・新宿店の夏のお中元にもなりました。(7月19日販売終了)。
私は素人なんでわかりませんが、お菓子=薄力・中力粉とイメージしがちですが、タンパクの高い春よ恋でもこういったお菓子ができるんですね。
美味しすぎます、こちらの春よ恋のブリオッシュ。
粉に合わせ、その小麦にあったたお菓子やパンができる職人って凄い!!というよりも毎年やその都度変化している粉に合わせたパンやお菓子づくりができる世界が当たり前なんだと言ってくださる麦師たち。感謝・感謝です。
またベーカリーキャンプ2010には妻も参加させていただきました。
どうやらその模様がブログになったようです。こちら→”ぽんぺつTable’s”