農業者向けの雑誌なのですが、”農家の友”と”ニューカントリー”に春小麦プロジェクトの記事が掲載されました~パチパチ。
”農家の友”10月号には、十勝で進めている”春まき小麦プロジェクト”での取り組みを紹介。
その中で生産者の声や、小麦の選別作業でお世話になっている本別町農協の取り組み、実需のパンやさんの声、学校給食にもなった子供たちの声などが13ページにもわたり掲載さています。
”ニューカントリー”では、経営者のネクストステージで取組を紹介してもらいました。
生産者は生産、加工は加工、流通は流通、消費者は消費という分業?体制から、生産者から消費者までの距離をちじめ、ニーズにあう農産物をつくってみたいと意気込んでいるというお話をさせていただきました。
原料をもっているにもかかわらず、国の補助をうけながらやるというのは、農業生産だけでは確かに
必要で分業するべきではないのかもしれませんが、土から作っている農家の強みは唯一その畑でとれた生産物しかないと思っています。
こういう雑誌、確かに営農技術だとかが載っているので農家向けは間違いないと思いますが、各地のレアな取り組みや一品やそこにかける生産者の想いなんかも詰まってておもしろいかもしれません。
美人(ビート)の収穫
勝手に当て字を作ってしまいましたが、ビートは美人(ビート)のごとく甘いのです。
どのくらいかというと17%以上。
今年もそのビートの収穫が始まりました。
まず、収穫前に各市町村を担当する製糖会社から運搬日時とダンプの大数の確認表が前段で回ってきます。本別町のビートは、本町にある”北海道糖業株式会社”が管轄。うちも今回は5回に分けて畑からビートを運んでもらいます。
一面緑にそまったビート畑ですが、収穫するのは葉っぱじゃなくて地株の大根のほう。
うちでは二度手間になるのですが、一度リーフチョッパーと呼ばれる機械で、葉っぱの上部をチョップして畑に散らかします。理由は二つ。一つはそのあとの機械の作業の効率化。もう一つは葉っぱの分解の促進です。
それからビートハーベスタという専用の収穫期が、ビートを一列ごとに収穫、尚且つタッピングといって、ビートの残りの上部の葉っぱを切っていきます。切ったところを収穫するのです。
切られたビートの列はこんな感じ。
ビートの中心部のほうが糖度があり、蜜状のものが見えたりします。
血糖値が低ければ、畑で対応できるかも?
余談ですが、畑の淵などのビートはよくネズミにかじられていて、絶対糖尿病か虫歯が彼らの中で大流行してるんじゃないかと思うわけです。
中には腐れているビートもあります。今年は例年にない大雨の影響で、根が伸びず葉が黄化したものが多く、たいていそういう場所のビートはチョイ腐れが入っていました。畑全体を良くするってほんとに難しいなって感じたとしです。全作物にいえますが・・・
10月中旬にもなると、夕日は4時過ぎくらいには沈み5時には真っ暗。日中も太陽が低いため、影の伸びが夏より大きく感じます。
今年の収穫ももうちょっと。ですが、来年に向けた畑を準備しなくては。今年の大雨、来年にも響きそうです。
レッドダイアモンド 小豆収穫
小豆の収穫は10月6日から17日まで中休み(雨のため)で行いました。
小豆の収穫体系は、昨年のブログをチェック→小豆っ
10月10日には、結構強い霜が降りて、霜降り小豆も発生してしまいました。
写真では、乾いた莢と茹でられたような生莢の違いがわかるかと思います。
莢の中をのぞいてみるとこのとうり。霜にあたってしまったほうは、なんだか茹でられたようといっていいのか、鞘の内側にぺたっとはりついたような状態になったというか、それに独特のにおいがついたりします。一緒に収穫することにもなるのですが、選別の工程でとれてしまいます。
今年は日照に恵まれていないせいか、花のつきも悪く茎の上の部分につくものがほとんどない様子。
部分的には、わずか15~20cmくらいの丈のものしかなく刈り倒しては、手で集めるなどして脱穀したのでいつもの倍作業はかかりました。
それでも、思った以上に実は太っていたのでひと安心。これが昔言われた先物農産物の筆頭株でもあった小豆なんです。今は価格が安定傾向にあるため、昔のような”レッドダイアモンド”(投機的な意味での)はないかもしれませんが、赤く光るその姿はその称号にふさわしい豆です。
早速、妻が水に浸して~
お汁粉つくっちゃいました~。うちの子供たちも無類のアンコ好き。しかも粒あんガツガツ派です。
やっぱり、新豆は皮も柔らかくて美味しいのです。
エン麦(オーツ)の力2
小麦の収穫後に播いたエン麦はどうなったかというと・・・。
こんなん、でっかくなりました~パチパチ。
丈のあるところでは、腰の高さ1mくらいまで青々と、伸びています。
反対にない所は、まだ15cmくらいしか伸びていません。
伸びてない場所は、特に土の固い所が多く、収穫時にコンバインやダンプトラックが動きまわる枕地(農家用語で機械が旋回するための外周の畝の総称)や、不均一に種がまかれたところ、肥料の足りないところが中心。
よ~く見ると10%くらいは、穂をつけていて大部分はこの時期だと出穂直前みたいな状態で、茎の中ですたんばってます。ですから、受粉もしてないので実も太りだしていません。
もう、10月後半で、あとは寒くなるばかりなので、実を取ろうということではなく、有機物として畑にすきこんでしまおうとチョッパーがけを行いました。
去年は種の量が多かったせいか、倒伏させた経緯がありましたので、今年は種の量を控えめにしてみました。低温もあってか?倒伏は皆無。
上の写真のように、上部をチョッピングして裁断して、有機物が分解しやすくなるようにします。また、このまま畑の中にすき込む(土を天地返しする機械で)こともできますが、この時期の低い温度やいままで蓄積された土の水分を考えるとそのまま、天地返しすると有機物が漬物みたいになって、なかなか発酵分解が進まないのです。
チョッパー後は、長い髪を五分刈にしたくらいの爽快な感じ?に変身。
それからすぐに(乾燥してくると茎葉がしなっこくなって作業性が落ちるし、裁断しづらくなる)ディスクという機械で根株を土から切り離す作業です。分解促進のためには、温度も水も空気もいりうので、これからに期待したい天気です。
で、二通りのパターンで処理。この畑はディスクで、表層に食物残さを残すことにしました。例年であれば土が砂混じりの軽い土なため、風の影響が受けやすいのと、土の極端な乾燥を防ぐのに不耕起栽培をしてみようと来年思います。ちょっと根がきれてないところも・・・。エン麦って越冬できたっけか?
なかなか作業がはかいかない作業なので、例年いろいろ残さ処理には迷ったり失敗したりしていますが、最後に土はフカフカになるとやっぱり緑肥やってよかったと思ってしまうのでした。
来年も美味しい農産物にしておくれ。
春小麦”はるきらり”がプレミアムラーメンに!
何度かお伝えしている帯広市役所との粉ラボ企画”春小麦プロジェジャクト”。
今回、”はるきらり”(平成20年産もの)が、カップラーメンに変身しました~パチパチ。
帯広市商工会議所が企画提案してくれたようなのですが、なにせこのカップメンすべてオール十勝。
パッケージの裏面には、”はるきらり”の生産者の音更町の津島さんと私の二名の名前が刻まれているじゃないですか~!!!
そのこだわりは・・・
一つ 麺は春小麦”はるきらり”使用
一つ 黒豆味噌(しかも本別町産のもの)を使用
一つ チャーシューは中札内産のホエー豚使用
一つ パッケージも、ばんえい競馬(馬の”道産子”が競うソリレース)をモチーフに採用
一つ カップめんの製造も地元十勝の会社
う~ん、なんとも素晴らしい企画です。
あのちょっとしか獲れなかった”はるきらり”がラーメンになって手元に戻ってくるなんて。
どれどれ、お味のほうは・・・
濃厚な黒豆味噌の味が食欲をそそります。ちなみにここの渋谷醸造さんの味噌南蛮もおいしいですよ。
麺は、食べ応えのあるやや太麺で、モチモチしすぎないコシのある感じ。
4分してから食べてねとありましたが、5分くらいのほうが私はすきかも。
麺も濃厚スープにからんで、美味しぃ!
”へ~ここまでできるんだ~”と”はるきらり”の新たな一面(麺?)を感じることができました。
値段は¥350円とはりますが、なにせ十勝のプレミアムラーメンです。
10月初めに販売開始して、すでに売れ切れちゃったかも。
問い合わせは”帯広市商工会議所”まで。
日経MJにも掲載されてました~。
暗渠と明渠
暗渠(あんきょ)と明渠(めいきょ)ってきいたことあるでしょうか?
畑の物理性の改善で、今年の雨で滞水した場所の水抜きをしなくてはなりません。
こういった、土層改良事業は国家プロジェクトの一環で、多額の農業土木予算の中から補助があります。たとえば、国とか道とかが8割で、生産者が2割とか3割とか。公共事業のため、全体での意見の取りまとめ→測量→実施となるので、早ければ一年後、おそければ3~5年後くらい。
でも、今年の雨はまっていられない。
補助なしでも、自力でやらないと来年も作物がつくれません。といことで全額自腹で施工開始。
明きょはいわゆる畑の側溝で、水の表立った水路。反対に暗渠は、眼には見えなくなりますが、畑の中の排水性の改善のために、パイプや素焼き煉瓦をつかったものを土中に埋めます。パイプ(塩ビ)の上には、土中の水の通りをよくするために、砂利や麦わらを敷きつめ、最後にまた表土をかぶせます。
”水は高いところから低いところに流れる”のが常識ですから、測量しながら”あと3CM深く掘って~”とか指示して、重機で道を高低差をつけながら掘っていきます。早速途中まで水が流れ出てきましたね。
今年は暗きょの畑でなければ、トラクターや作業機等が入れない大変厳しい年でした。
秋の雨は乾きずらいため、容赦なく土中にたまっていく一方です。
施工料で、この畑の売り上げは消えます。
農地が荒廃していくのも、条件の悪いところからって意味がわかりますよね。
粉(コ)ラボ
フードソムリエさんのサイトにてお世話になっている皆様。
ご存じだとは思いますが、9月28日より福井県の野の花工房(佐々木オーナー)さんとの粉ラボ企画をさせていただいております。このような素敵な企画に参画できて大変ありがたく感じています。
詳しくは、フードソムリエ様サイトから→ 産地と食卓の往復書簡
本来、食=農業ってふつうにあってしかりなのですが、なんせ生産現場と消費までは輸送距離よりも気持ちや情報が遠く感じておりました。大きな枠でとらえると、日本の食や農業というのは、輸入品でなりたっていて、経済発展とともに海外からあらゆるものを輸入できる豊かな食生活に、私含め多くの消費者のかたが慣れ親しみ、それを楽しんでいます。
畑では大きな機械が躍動的に動き、日本サイズの大規模化は多少すすんでいるとは思いますが、農家の弱さは消費を知らないことです。近年になっても、自分ちの小麦が誰が、どんなふうに、どこで、誰と(まではいらないか)料理したり、食べたりなんてしらなかいわけで、”知ってどうなる?”という疑問もあるかもしれませんが、私は知りたい。せっかく作ったんだから、”美味しいのか美味しくないのか”やる気となる気持の問題以上に経営感覚としても、これから農家が持つべき情報なんだと思います。
今回このような企画をつくっていただいたフードソムリエさんには大変感謝です。
ローカルでゆっくりなペースなのかもしれませんけど、これが食の本来のベースだと思います。
今回の企画”畑の小麦→ベーグル”はほんの一例ですが、このような機会がたくさんあればあるほど、農家も消費者とも繋がりを感じられるものになるのではと思います。
野の花工房さん含め多くの料理家さんとも、このサイトで知り合えました。
お互いに行き来をし、テルテル坊主までいただき、心配をしていただきました。
当農場の農産物は貴重なものだと思っていますが、この国の農産物そのものが非常に貴重なものです。正直、肥料や農薬、機械やそれにつかう燃料はほぼ外国に依存しています。
国土の大きさの違いは明らかで、原料の量で勝負なんてありえない話です。
それに加え、今年は天候不順に泣かされています。
日本の小麦の自給率14%のうち、パン用小麦(強力粉)は1%に満たない現状です。
農業政策、品種改良、作業体系、消費動向といろんな問題、課題点はありますが、ようは危機的なんです。ただ多くの方が国産の小麦を必要としているのは最近よく感じています。
もっともっと、”粉ラボ!!!”していきましょう!
雑誌”LEEの100人隊に登場”?!
この雑誌、知ってる人はよくしってるものだと思われるファッション雑誌なんですが・・・
このたび、掲載していただくことになりました~パチパチパッチ~。
といっても、私でなく嫁が!?
”LEE100人隊”という一般主婦の精鋭部隊?があるらしく、なんでも会員になっていた(?!)らしく、投稿したら掲載されたらしく・・・。
今月11月号の171Pに、”LEE100人隊のわたしたちの資格取得体験!”という資格取得をどう生かしているか?というテーマで、”小麦”と何か関係があるのか?と思ったら、嫁は”パン講師”の資格をとって、自分の農場で育った小麦でパンをつくることでそれを活かしてますというお話。
それと、裏情報ですが”大型特殊免許”も彼女はもってるんです。
”なんだ、それ?”ですが、トラクターとか、ショベルローダーとかは、公道を走る場合は免許がひつようなんですね~。いまだデビューはしてませんが、いざという時には役にたちます。これは、なかなか女性には勧められない(必要のない)資格かも。ちなみに、畑の中は資格とかいりません。
今度は、プチ農業に興味をもってもらうためにも、奇麗なモデルの方たちにガーデンニング兼農業みたいな、ファッショナブルで機能性に富んだ洋服の特集があってもいいかもしれませんね~。
”見た目”からだっていいんですよ、まずは。土いじりからで十分です。
農業を知ってもらうことが、今必要なことですから。
十勝エピ
先日、十勝の小麦粉伝道師である、早川さんのパン教室をお招きいただいた。東京と十勝を繋ぐパン講師&情報通なかたである。
この日も、何名かの生徒さん(うちの妻も参加)と十勝産小麦でのエピをつくろうということだ。
トップは並んだ美味しそうな十勝エピたち。
左、春よ恋グラハムエピ(ブルーチーズ入り) 右春よ恋(ノーマル)エピ(ベーコン入り)。
ちょっとしたひと工夫をいれるだけで、ものすごい甘味とうまみを感じるパンに変身していた。
手間をかけるのも、重要なんだなと思う。
エピを分割した”ア・ピース・オブ・エピ”
3社(当農場含め)の食べ比べ。どれもうま~い!
”春よ恋”を利用した手作りホワイトソース。強力粉を使う場合はその特権と注意点があるみたい。
チーズとカラフルポテトいり。
デザートは”ホクシン”のロールケーキ。できすぎです!このしっとり感と弾力感たまりません。
ホクシンよ~あと一年でほんとに姿をけしてしまうのか~い?
お土産に、”春よ恋”100%の角食パンと十勝産ブレンド粉のカラフルポテト+チーズのパン。
これだけ、十勝の小麦にこだわって教室されてる方いないかも。
しかも、このクラスはい過去2年のクラス(月1)いまだに雨だったことがないことが判明。
”十勝晴れ神パン教室”だということがわかり、これは畑に連れてきたいと思いました。
ごちそうさまでした~!
最後の雄姿だホクシン!
ウ、ウ、ウ、ウ~(泣き)。これが最後の一年だなんて寂しい気がします。
そうです。北海道代表麦”ホクシン”は来年収穫分でほぼ長い歴史に幕を閉じるようです。
うどん用(讃岐うどんにも使用されている)として、チホク小麦から弟変わりし、農家にも抜群の安定性で北海道の小麦を引っ張ってきた立役者。
世代交代の時期に差し掛かっているんですね~。
もちろん、”ホクシン”は開発用途はうどんということですが、お菓子にも抜群合います!シフォンケーキ、クッキーにもつかえますし、生地はわりとしっかりしていて、それでいてしっとりとした口どけがあります。
私もいろんな方に作ってもらったりして、食べているのですが”何でもっともっと早くから、お菓子にも行けます!!!”って宣伝しなかったんでしょうね。そうすれば、もっと多くの人に北海道産の小麦をしってもらうきっかけにもなったと思います。
去年(平成19年)と今年(平成20年)と、穂発芽してしまったりと珍しく後味が悪い二年間に。
三度目の正直?優秀の美?終り良ければ全て良し?
あと一年、最後までよろしくお願いしますね。
今年は10月2日に大部分を撒いて、10月4日に残りをまいていきます。種量は8KG~10KGに調整です。