早いもので、畑ではもう来年の始まりです。
秋まき小麦の種まき時期となったのです。
秋まき小麦(USAではWINTER WHEAT)の北海道の種まきシーズンは、9月中旬からはじまり、下旬にピーク。10月でもこの辺(十勝中部なら10日前後位までが、種まき時期になります。
要は、小麦が越冬してくれればそれでokなわけですが、時期が遅れると越冬に必要な葉っぱの枚数(5枚を確保というのが基準)だとか、体つくりができないので気象条件によっては、枯れてしまったりします。
9月上旬も雨が多く、なかなか畑に入れない日が続き、中旬からの準備となりました。
小麦を連作する際は、畑起こしといって、土を天地返しにする機械(プラウ)を使用してから、ディスクやパワーハローといった機械で整地をして、肥料を撒いてから種まきになります。すべて、別々の機械でやります。ここも、農業の非効率なところ。状況に合わせた機械や、機械の調整を行います。
秋まき小麦のトップバッターは
香味麦選”キタノカオリ”: 今年の収穫で最も手がかかった小麦です。
昨年(平成19年)は、9月21日に種まき。今年(平成20年)は9月27日。畑の準備はちょいと遅れ気味でしので、種は13KGと去年(10KG)よりも、3KG多く種まきしました。
キタノカオリは分けつがホクシンと比べるとしない感じ。あと、播いた畑は土のゴロが多かったので、発芽不良もあり得ると思いこの量に決定。
種をまいた後は、鎮圧作業。種を落ち着かせる作業です。また、この畑の場合は、表面の土のゴロをちょっと砕いてあげるのも、目的です。
こんな感じで,10cm以上のゴロが、5.6cmくらいにおさまってます。あんまり土が細かすぎても、雨降って表面パンパンになる可能性もあるし。
秋の長雨が続きませんようにと祈りを込めながらの種まき作業の始まりです。
ちなみに、キタノカオリはいつもの倍以上の面積を撒きました。
理由はまた今度。
カテゴリー: 小麦
”北海道小麦を考える会”の種まきon畑
7月29日、十勝晴れ曜日。
なんだか、いい大人たちがなにやらやってます。
そうです、当農場の畑にて小麦の種をまいているんです。
来日していただいたのは、東京からわざわざ種を撒きにきていただいた”北海道小麦を考える会”のメンバー10名。
代表の石田さんとは、数年前からのお付き合い。
以前電話で
”小麦の種まきたいんですけど・・・”
と切り出され、
”いいですよ、是非~!”
と言ってしまいました。
いろんな業態(基本的にはパンに携わる)の方たちが、東京で、”北海道の小麦”のこととかを中心に、情報交換しているようです。気軽に参加できるのがいいところのようです。
畑にて私のなが~い前説(もちろん小麦や畑のことが中心)を清聴していただいたあと、畑に入って小麦をつかんでパラリパラリと撒いてもらったのです。その後、無事整地されました。あとは、発芽をまつのみ。
品種は今年の収穫苦労度”No1”の”きたのかおり”。
播いた種は、来年苦戦しないように祈るほかありません。
この日は同じ畑で、機械による種まき作業もあじまりました。ので、機械でのデモも見ていただき、一連の作業を実物をみながら”一つの現実の北海道小麦”を実感していただきました。
ランチはいつもお世話になっている”帯広市の”はるこまベーカリー”の栗原さんに、特製サンドイッチを作ってもらいました。ランチ風景一枚もとりませんでしたが、楽しいひと時となりました。ショップでも、9月毎週土曜日は、限定で”春よ恋”はるきらり”のパンの試食会も開催されていましたよ。結果はどうだったんでしょうね?
もちろん、オーナーの栗原さんにも種まきに参加してもらいました。
一部に”はるきらり”を使ってもらったり、そば粉が混じったオリジナルテイストのパンも。
秋晴れの中、外で食べるのもなかなかでしたね。
東京に行くのが、さらに楽しみになった出会いでした!
”キタノカオリ”がここ十勝本別の畑からプ~ン、プ~ンと東京に香りますように。
ご来畑ありがとうございました。
ジェフリーハメルマン夫妻との宴
前回の”パンを愛する匠達とともに”の後編。
今回のこの時間は夢のような時間でした。
小麦粉の違いを感じたり、写真はバーモントと当農場のキタノカオリ(全粒粉)を東京で試作してもらったもの。
粉の粒度の違いもパン作りには重要な要素と教えていただきました。
上記写真の上のパンは粒度が荒く、パンの目が詰まっている。グルテンが切られているもよう。
同じ小麦でも、挽き方もまた重要。
パンつくりは全くわからないことだらけでしたが、ジェフリーさん夫妻が住むアメリカ・バーモント州の農業にはアメリカらしからぬ食文化が根づき始めているようでした。
というのも、州のほとんどの町が何千人という小規模な集落をなし、アメリカ農業=遺伝子組み換え作物的な栽培もなく、農家の規模の30~40haと十勝畑作農業の規模とそれほど変わりがありませんでした。
農業経営体も、有機農業や緑肥や家畜のたい肥や糞尿をつかったりした循環型農業をおこなっていること。
規模では他の大きな州に勝てるわけもなく、それよりも”地産地消”の地域づくりがすすんでいると感じました。
新鮮な農産物を求め、地域の人たちが農家を支え、農家もジャムやチーズなどの加工品を販売したり、立地的にもニューヨークやワシントンDCに3時間程度とそれほど遠くないということもあり、消費者目線の農業経営で、いわゆるアメリカ的大規模な農業のそれとは違うようでした。
”Green Manure”(緑肥)について聞かれた時は、本当に驚きました。パン職人が、農家の畑の作り方にも精通しているとは。”知ろうとする”という言葉よりは、より身近に農業を感じる風土が現地にあるんだなと推測しています。いつか、日本のパン職人の方たちも、小麦畑にたって、今年はこんな感じかな?なんて思ってくれると、農家にとってもうれしいはずです。
こうなると”地産地消”という言葉も、生産者も加工者もともに”地を産みつづける存在”になるかもしれません。
さぁ、今晩は宴です。
準備は、エグビブの奥様、子どもたちを中心に、真狩のJINさんの手料理がならび
日本のパンの巨匠たち、明石さん、二瓶さんが神聖な儀式のようにパンをきりわけ
パンプレートの上に、今日焼いたたくさんのパンたちが用意されます。あんな大きなカンパーニュやリュスティックがドンドン皆さんの体に吸収されていきました。
最後にジェフリーさんからも”ここに集まった人たちは明日、それぞれのところに離れてしまうけれども、この日であったことや素晴らしい経験を他の人たちとも共有し、またつくっていってほしい”と一言。
とっても気さくでジョーク好きのジェフリーさんとともに。本にはサインもいただき、励ましのお言葉もいただきました。
Daer Mr.Jeffrey
It was nice to talk to you here in Hokkaido, Japan.
I had great oppotunity to spend precious time with you and decent bread artisans of Japan.
I think everybody got there won’t forget moment we shared.
Thank you very much for words of cheer.
Please taka it easy and can’t wait to see you again!
翌日早朝のエグビブさんから眺める、眺望は素晴らしく、まさに”Rising Sun!”です。
またまた気合い入りました。
お世話になりました、エグビブの家族の皆様、明石さん、二瓶さん、森本さん、N43の会の皆様、大変貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
パンを愛する匠たちとともに
9月2日、素晴らしい奇跡に参加しました。
それは、パンをこよなく愛する匠たちとの出会い。
小麦ってすごい!畑って素晴らしい!人との出会いの膨らみかた。パン以上のものを感じています。
皆さんこの本ご存じでしょうか?”BREAD”その名のとうり、製パン技術の本。パンを作るうえでの技術本です。その著者である、ジェフリーハメルマン氏に会えるチャンスをいただいたのです。
話はちょっとさかのぼります。8月下旬、東京の”パン技術研究所”で行われたジュフリーハメルマン氏の来日講演に当農場の小麦粉を使っていただきました。ご紹介いただいたのは、札幌のパン講師の森本さん。
ジェフリー氏が地元のバーモントの粉と北海道の粉とを比較したいということで、三種の粉”ホクシン””キタノカオリ””春よ恋”のいづれも全粒粉を送らせてもらいました。
実際、挽き方に関して素人であるから、現地では一度ふすまを取り除いていただいたようだ。その時の様子は、森本さんのブログから・・・こちらポチっ
森本さんの関連ブログは、ドキドキするようなドキュメンタリーです。是非チェックしてください。
このような光栄に恵まれるとは思っていなかったが、まさか北海道で会えるとは!
朝、車を飛ばして小樽に向かった。久々の北海道晴れで、空は青く、海もすきとおってきれいだ。
場所は小樽は忍路 にあるパン屋さん”AiguesVives・エグビブ”。
ここに、パンをやく匠たちが集結していたのです。
ジェフリーさんの本”BREAD”を勧めてくれたのは、日本の匠であるベッカライ・ブロートハイムの明石さんとドンクの二瓶さん。それに北海道のパン職人たちが集うN43のメンバーの方々。今日のこの姿をみて、北海道にも情熱あふれ、勉強熱心なパン職人たちがいっぱいいるんだなと思った。
仕込みの量を確認するハメルマンさんとドンクの二瓶さん。そして”BREAD”翻訳者、パンの作り方のデッサンをした金子さん。素人でも凄くわかりやすく書いてあります。
到着すると、すでに職人たちがパンの仕込みにはいっていた。パンを作ることに関してはまったくの素人。でもこの雰囲気。いい、いい、いい!皆真剣にパンに向き合っていて、楽しんでつくっている。
明石さんや二瓶さん、そしてもちろんハメルマンさんの手つきに注目し、それぞれの仕事をこなしていく。
窯入れの前のクープ入れも、なにか神聖な儀式のようだ。窯の中にはいったら後は人の手は加えられない。”どんなパンができるのかいつもワクワクするんだよ”と明石さん。職人という言葉の定義ってしらべたことないけれど、”とことんやることに楽しみをもち、とことんそれを追求すること”になるんだろうか。
エグビブさんの石窯でやかれるパンたち。”美味しそう”なんてつきなみな言葉でしかないけど、焼かれているパンをみると本当に美しいものに見えました。
今回も石臼で挽きたての小麦粉を持参。それぞれのパンに混ぜていただいたりしました。今回は前回の反省を踏まえて、ふすまの配分を少なくしてみました。
窯からでてきたパンの音って凄いんですね!生き物のようにパリっパリっ、ピシっピシって豊潤な香りと音に感動しました。
ランチはこれまた素敵な石つくりのテラスにていただきました。
最高のパン職人たちの出会いがあるとこ、畑の小麦たちに感謝・感謝です!
新品種”はるきらり” お待たせしました!
春に種をまいた小麦、”はるきらり”収穫の日を迎えました~パチパチ。
これで全小麦の日程は無事終了です。パチパチパチ~、ようやったわ。
8月19日曇り小雨模様の中、がんばりました。ヒゲだらけに小雨だらけで。
この時期の天気予報は当てにならないとはいわないけれど、”天気の急変にはご注意ください。”という一言が象徴するように、晴れよりも雨の確立は当たる!18日の予報では、19,20,21日と三日間雨予報。”神様、午前中だけでも曇っててください!!!!!!”と祈りをささげながらの収穫となりました。
水分はまだ28~30%近くありました。3日間雨のあとにすぐに畑に入れない可能性が高し、はるきらりも色んできているということで、収穫開始!
今はまだ乾燥機の中で待機中ですが、今年も待望の春小麦”はるきらり”が、当農場の香味麦選に加わります!まだまだ北海道でも珍しい、稀少品種です。これからの作付の増産にもアピールしていこうと思います。
皆さまのキッチンにお届けするには、まだ若干の時間(検査、製粉、エージング(熟成))とかかりますが、早々に売れ切れてしまった”はるきらり”。
あなたのキッチンでも、”キラリっ”輝くパンになってほしい!
8月7日、登熟に向かう”はるきらり”
来たぁ~~!!”春よ恋”収穫
来たぁ~~~”春よ恋”収穫完了です!当農場の香味麦選シリーズの人気No.1でもある”春よ恋”です。今年も適期に収穫できましたぁ。
今年は第一クールが8月12日。第二クールが8月15日。第三クールが8月17日と約3回に分けて収穫完了しました~。パチパチ。ここでも、3回目は天気予報にない雨に見舞われ苦戦を強いることに・・・。どうして天気続かないのでしょうかね。エルニーニョ恐怖症です。
8月12日は曇り時々晴れ曜日。水分も18~19%くらいで今年も楽に収穫できるかなと思いきや、16日に雨予報となり、慌てて15日に結構。二日ともに夜中までの作業になりました。
春小麦というか、ヒゲ(ノゲ)のある品種は皆そうだと思うんですが、収穫中のコンバインの中で悪さをします。それは、一本一本の毛が機械の中でむしれ、茎を排出するストローウォーカーとか、プレシーブ(小麦の実が落ちる通しの部分)に目詰まりを起こすんです。それでうちの対応としては、原則2回ダンプに小麦を排出したら、エンジンコンプレッサーの超強力な風でその一本一本のヒゲの塊を取り除く作業を毎回やります。一回につき、きっと20分~30分程度の作業ロスになりますが、それが塊になってびっしり張り付くと、小麦が2番の通しに入らないで茎と一緒に排出され、大きなロスや機械の負担による故障になりかねないからです。
やり方が悪いのか、機械の能力の問題なのか?
毎回、飛び散ったノゲに首回りや体中刺され、カユイカユイ。
だれかいい方法おしえてくれませんか?
特に、傾斜の下りでは、茎が早く(平地よりも)でないため、多く詰まりやすく感じます。
北海道新聞の全道盤にも、季節の便りとして掲載いただきました。ありがとうございます。
雨の日も、曇りの日も、晴れの日もコンバイン、ロクロクよ、よく頑張った!
あとは”はるきらり”のみ。もうひと踏ん張りやろうぜ!
新麦”きたほなみ” 獲ったり~!!
新麦”きたほなみ”の収穫は、8月3日今日もくもり。
昨日のキタノカオリの激闘で、コンバイン”ロクロク”の体内は悲鳴をあげていました。
半日掃除に費やし、きれいな体になっていざ出陣です。
北海道の9割以上を占める、”ホクシン”に変わりこれから、この”きたほなみ”薄~中力粉として活躍していきます。なんだか、日本のうどんによくつかわれているオーストラリア産の小麦(ASW)と比べても、遜色ないシコシコ感のある歯ごたえ、白く艶艶肌で、製粉性もよろしい、しかもホクシンよりも増収が期待できると、”食べて良し、挽いて良し、作って良し”と三拍子そろった優れ品種。
”ホクシン”だって、以前の”チホク小麦”と比べたらものすごい進化系麦だと現場では言われていたそうです。
圃場ですが、前評判の倒伏に強いとされていましたが倒れました。ですが、実はそれほど細麦になっておらず、しかも穂発芽に強いというところは評判どうりの感覚。
まだ、25%近くあったのでホクシンよりは若干晩生になる感覚があります。
穂は、ホクシンの良いの比べてもそんなに凄さを感じるものはないのですが、粒の大きさは若干大きく感じました。
どんな味になってくのでしょうね。
試験場では、低たんぱくにでやすいこともあるし、製粉性も良いということから想像して、お菓子にも十分いけそうな予感。
乞うご期待です!
指令 ”キタノカオリ”を救出せよ!
8月2日(雨時々くもり)曜日。
この日の早朝、AM9:00の雨予報から6:00に飛び起きて、残りのホクシンを収穫しました~。
”フっ~”って息つく暇はなく、倉庫に帰ってコンバイン(”ロクロク”という愛称)と乾燥機のラインの掃除。予報は雨ですが、曇りの天気を眺めながら、”あきらめんな、今ならまだいける!”と言い聞かせ準備をしました。
そうです。当農場の香味麦選(こうみばくせん)
”キタノカオリ”(Kitanokaori)の収穫の番です。この品種、今年も去年同様、全道的に大きな被害を感じます。なぜかというと、穂発芽しやすい品種だからです。もう限界、一撃必殺という言葉があるとすれば、一雨麦殺という待ったなしの状態。予想されることはわかってます。でもやらないきゃ助からない。
午後2時、曇り時々雷雨という最悪のコンディションで戦いに行きました。
本人 ”気合い入れろ~ロクロク!”
ロクロク ”グェン、グェン、ピーーーーー”
コンバインがの水分でのどつまりを起こして、エラーの音が聞こえてきます。何度も何度も。
”雨よ降るなー降るなーあと3時間で俺に猶予を与えてくれ~”といっても、無常にも雨は降り。茎も穂もべちゃべちゃ。こうなったら、コンバインというのは適正な機能を果たせません。世界中どこ探したって、雨の日に収穫する農家っていないんです。想定外というか論外。
それでも、キタノカオリは穂発芽しやすく、さらにパンを作る際に必要なタンパク質が壊れて生地がつながりにくくなる低アミロという状態になりやすいのです。水分はまだ28%近くありました。ですが、待てない。
雨の中、指をくわえて見す見すキタノカオリの品質が落ちるくらいなら、ロス覚悟の上やるしかない。きっと、この日収穫していたのは、十勝でも数えるくらいか当農場くらいしかないと思う。通常ならやらない。
救出したとしても、うまく脱穀できず畑に残された麦たちも多数います。
なんのために、一年大きくなってきたのか?こんな収穫のされかたじゃ、納得いかないともいわれかねません。
全員は助けられない。でも8割でも救えるのなら、あなたならどうします?
次の日にはさらに5割くらいしかのこらないとしたら。未脱穀やシーブのつまりにより、畑にはまだ元気な麦たちが見える。作業に矛盾を感じながら、苦しい選択をしました。
250mくらいの畑を、片道走ってはエンジンコンプレッサーという高圧の風でベトついた茎や葉を、シーブといって実が落ち抜けるところに毎回のように掃除。そのシーブといって、通常は実が落ちる感覚しか開けないもの通常5~7mmくらい。だけど、前回に開いてなるべく再脱穀されるようにとか、実が落ちるようにできる限りの対策はしました。
8月6日に現場にいってみると、やっぱり・・・。ちゃんと穂から実が取れてない。特に一番下の実が未脱穀のまま穂にのこってました。穂発芽はしてなかったけど、土にこぼれた実は発芽していました。
悔やんでも悩んでもしょうがない。
無事収穫したカオリちゃんたちよ。畑に残された麦たちの分も、美味いパンに変身しておくれ。頼む!
皆さん、今年のキタノカオリはいつも以上に貴重です。よろしくお願いします。
人鎌(ロウマイカ)
何してると思います?麦刈です。
ロクロク(コンバインの愛称)どうした?って?
土が雨で軟弱状態になり、ロクロクが埋まってしまうんです。
今年はこのような圃場が多発。ロクロクで行けないところなんて通常ないですが・・・。
土にめっこり刺った、タイヤの跡。
舗装道路しか走ったことのことのない方にはわからないかもしれませんが、考えてみてください。
車から半分でているタイヤのこと。その半分のタイヤが埋まったらどうなります?
土に動体着陸しちゃって身動き取れないですよね。
7月29日の深夜、23:40分頃。ぬかるんでいるところまで、進んではバックして、進んではバックしてとやっていましたが、ついにハマってしまいました。
ここから、一時間半、激闘が始まります。
大型のトラクターにワイヤーをつけて、うんとこしょって引っ張りますがびくともせず。
次にタンクに入っていた半分近くの小麦をダンプに排出して、身を軽くして・・・・。
ダンプももちろんぬかるんでいるので、道路までトラクターでけん引して。
それから、再度挑戦。それでも駄目で、今度はトラクターやロクロクのタイヤに敷き詰めるだけの麦殻(茎や穂の殻のこと)を敷いて、ゆっ~くり引きあげたのです。麦殻の力はすごいんですよ。ちゃんとタイヤのグリップの力になるんです。
地元のJAでも苦戦をしいられていたようで、ダンプとかトラクターでは刃がたたないということで、重機のショベルカーを準備。何度も何度もハマった畑があるそうです。わかる。自分のうちの畑でさえ、どこで埋まるかわからないのに、他人の畑だったら余計、検討つきませんよね。
この夜の教訓から、次の日、別のトラクターにダブルタイヤをはかして、麦稈も運べるようにローダー(ショベルのついたやつ)を準備。最悪の状態に臨戦態勢を整えたのでした~。
それでも、ロクロクの入れないとこは、手刈り。こんなこと今までやったことありません!
長靴ではまるくらいトポトポなんですよ、畑が!
約2反分(20m×20m)くらいでしょうか。最初の写真のように刈っては、ロクロクで脱穀しての繰り返し。
でも、立ったままの小麦畑を残しちゃおけない。せっかく一年育ってきたんですから。
What a wheat days! ホクシン収穫!
7月29日から8月3日までのたった6日間ですが、秋まき小麦の収穫となりました。
そして無事、終了したのでした~パチパチ。
お菓子やパン職人の方々、流通、製粉にかかわる方々皆様より、激励やご心配のメール、電話等いただきこの6日間を、あっつい想いで収穫させていただきました。
”うちだけの農産物じゃない、このあとがある。だから今やるべきことをやる!”
怒号の麦畑レポート送ります。
皆さんお気づきのとおり、今年はメモリアルな年になってます。
雨、雨、雨、曇り、たま~に晴れ。
積もり積もった降水量は土の中に蓄積されていました。
それでも、収穫の時期はきます。小麦が乾燥してきたのです。
しかも雨の予報がでる、でる。
”晴れ神様どこじゃ~い!””この時期くらい晴れとくれ~”とコンバインの中から叫んでいたのは私だけじゃないはず。
まずは、当農場の”香味麦選”(こうみばくせん)シリーズのトップバッターは
ホクシン(Hokushin)からです。
晴れの日は、6日間の収穫日のうち7月31日と8月1日だけ。
この一瞬とばかりに、コンバインを走らせたわけです。疾走するといっても5~6km/hrぐらい。
倒れてるところは、1~2km/hrくらいなので作業効率はおちます。
コンバイン(収穫機)の前にはヘッダー(刈り取り部分)がついていて、バリカンが横に並んでいます。
そのバリカンで茎を切ります。同時に、リール(細い針金のついた観覧車みたいなイメージ)で、小麦をコンバインの中に描き込みます。速さ調整はもちろん、倒れた麦でも上手に描き上げてくれるすぐれものです。
それから、コンバインの中に大きな太鼓(ドラム)があって、この部分で約9割近くは脱穀されて、タンクの中に押し上げられます。下はタンクにはいった麦たち(ホクシン)。
それでも、落ちない小麦は、穂とか茎ごと再脱穀される装置に入り、実と茎や穂、もみなどと分別されて外に出てきます。非常にうまくできています。豆やほかの雑穀も同じような仕組みで脱穀できます。
それから、ダンプに受けて乾燥工場まで運びます。
乾燥工場まで運ばれたあとは、小麦の実の水分を12.5%以下まで下げます。何で12.5%?っていうと、政府の検査を受ける際の基準であり、通常この水分だと長期間の保存に耐えうるそうです。確かに、噛んでみてもカリとしてます。
あと、2年もすると”ホクシン”は”キタホナミ”に品種交代されます。ありがとう、ホクシン!よく頑張った!でも、刈りはじめは若干、穂発芽もありました。来年最後の年。終り良ければ全てよし!また輝いてねっ、というかドキドキさせないで。