京都の足立音衛門さんとの粉ラボしてみました~パチパチ。
しかも商品化されました~ありがとうございます!
当農場の”ホクシン”を使用していただき、あとはこだわり抜いた素材で仕上げてもらいました。早速、商品を送っていただき家族で試食。
”十勝平野の前田さんの畑の小麦を使った贅沢和三盆パウンドケーキ”名前のまんまです!じゃじゃ~ん!
まず、この商品を開発するにあたり製粉会社の方の紹介で実現しました。あれは昨年のあっつ~い夏日のこと。音江門社長が直々に畑まで寄っていただきました。その時の様子は音衛門さんのHPにあります。こちら→ポチっ。
ホクシンのパウンドは、”しっとり””どっしり”した感じがします。今回のものは、音江門さんが小麦の芯部分の粉を使いたいと、こだわり製粉後のホクシンを使ってもらいました。これは裏返すと私にも責任があり、昨年のホクシンが例年に比べて高タンパクだったことも理由にあります。ユーザーの求める小麦つくりを身にしみて感じた商品です。
冷蔵でどれもきましたが、常温になるとさらに”しっとり”感を感じました。
それから、新品種の”きたほなみ”のパウンドも試作していただき、ホクシンとはまた別角度の食感がありました。製品化されたらいいな~と思いつつ・・・。
音衛門さんといえば、やっぱり栗のケーキ。”栗のテリーヌ”や”百済( くだら )”という名の新商品を送っていただきました。お菓子というのに持った瞬間、”重っ!!”と思うのは贅沢につかった栗、栗、栗がその理由。
この栗は海外の指定産地まで行って選んできているとのことと熱く説明を昨年お会いしたときに聞きました。田舎者の私は”なぜこれだけこだわるのか?”と思いながらも、こだわりがあるから美味しさを追求して、お客さんに選ばれるんだろうなと逆に勉強させていただきました。
栗のテリーヌのパウンドは、”さらり”とした食感。パウンドがホロホロって溶けてなくなっていく感じ。
それから、”さくら”という名のパウンドケーキ。いったいどんな味がするんだろうと食べてみると、ジワジワと塩漬けした桜の香りが口の中に広がり、春を感じさせてくれます。パウンドの食感は、”ふんわり”した感じ。京都の人はこれを食べながら、桜の季節をたのしむのかなと風情を思い浮かべました。
音衛門さんの商品はどれも家庭の味がします。正直な感じ、機械化されたようなお菓子の味がしません。手作りはもちろん、保存料や余計なものをいれないからこそでる素朴な素材の味が生きている印象です。
平成21年産のうちのホクシンどうぞ、召し上がってください。
お問い合わせはこちら→足立音江門
月: 2010年3月
新麦”はるきらり”応援隊
♪もうすぐは~るですね~ちょっと作ってみませんか~♪
といえば、パン用小麦の”はるきらり”と”春よ恋”ですよ!!
2月上旬東京はちらほら梅の花が咲いちゃったりして、十勝から比べると正直”温暖化か?”と錯覚してしまいそうです。初Suicaを使って都会人気分になりながらおりったったところは東京、八王子の”埼玉屋”さん?という全国のこだわりの豆を販売しているお店。こちらは当農場の小麦粉を扱ってもらっているこだわり小麦のお店”MIX&MIX”さんの親子店です。
こちらのお店。きっと東京でも唯一だと思うですが、十勝産の小麦粉にこだわったパン教室を開いています。これってすごく大事で、なかなかこういった商材がないのもありますが、作って美味しさの違いを感じてもらうというお店すくないと思います。パンつくりに興あるかたは是非、案内はこちら→手作りパン教室十勝産の”はるきらり”はここで美味しい”ミルクロール”に変身していました~ぱちぱち。
このお店の2Fのオープンキッチンにて、パン教室が開かれていて講師は十勝小麦の伝導師といっても過言でない”パン教室y.b.Hの早川さん。地元十勝でも、さまざまな形で”はるきらり”や十勝産小麦を応援してもらっています。
十勝のパン用小麦の普及を目的とした”とかち春まき小麦プロジェクト”(通称:はるこプロ)との粉ラボです。東京の皆さんにも”はるきらり”が普及することをベースに今回は、はるこプロの”はるきらり”と当農場の”春よ恋”でパンの焼き比べ、味比べをしていただきました。
こちらのクラスでは、”はるきらり”と”春よ恋”の簡単クリームソースの作り方も指導していました。
左が”はるきらり”で右が”春よ恋”。確かにタンパク含量の違いなのか、質のもんだいなのか”はるきらり”は春よ恋ほどのボリュームはありませんでした。もっちもち派の春よ恋に対して、はるきらりは”もちさっくり”な感じ。
企画事態が大変面白いと思いましたが、これをどう普及させるのか?生産者は生産性や経済性に加えて、普及や消費までを考えないといけない時代だと思います。
春爛漫、”はるはるブラザース”なのか”はるはるシスターズ”なのか、本格的な春をこの小麦たちでむかえてもらえたらと思います。
といっている間にどんどん、美味しそうなミルクロールがコロッコロッと出来上がってきます。
こういった応援隊あっての小麦ですね~感謝です。最後はアンケート調査も行われ、どんな形になるのか”はるきらり”の美味しさバロメータがはるこプロのほうからでてくるようです。
氷の美小麦 ゆめちから&きたほなみ
3月上旬にまいた融雪材の効果もあり、また御天と様にも恵まれグングン雪解けは進んできました~。
ただいま冬眠中の秋まき小麦たち。
雨の日も風の日も雪の日もじっと春をまってます。根っこというアンカーを地球にはりながら。
雪解け水のたまった氷の中でも、生きとるんです。
素晴らしい生命力ですね、こんなん人間でしたら”九死に一生スペシャル”にでられちゃいます。
それでも、分厚い氷がはってしまうと呼吸できずに、凍死してしまいます。何年かまえにも冬の雨で酷い被害がでたことがあります。雪解け水が流れているうちは、窒息することはないようです。
昼間の写真なので、気温も3度くらいになっているでしょうか。朝晩はマイナス8度近くまでさがるので、凍ったり解けたりの繰り返し。
麦の芯は生き生きしてますね。まだ夢見心地の新品種”ゆめちから”。どんな麦になるのか楽しみです。
それから”ホクシン”に変わって、今後ますます活躍する”きたほなみ”
どちらも、雪腐れ病の被害は今のところみあたりません。北の大地に穂波が揺れるまであと4ヶ月。
どんなことになるんでしょう?
Let’s go to the snow field!
トラクターで豪快に雪遊び~してるわけではありませんよ。
3月6日に融雪材をまきました。よくDIYストアとかで使われる塩化カルシウムではなく、炭酸カルシウム(通称タンカル)と呼ばれる肥料に墨というか炭なのか、黒く着色されたものを20kg/反にまきます。
タンカルは土のpHを調整する役目もありますが、量からいってもその役目よりも雪を溶かす目的でつかっています。マグネシウム(苦土)入りのものもあり、土壌分析からも何かしらのたしになるよう苦土タンカルを利用しました。
500kgのパックから、モウモウと黒煙がたちこめるので、顔は真っ黒、鼻穴はいつもの倍以上?黒くなります。
撒いている畑は、秋まき小麦(ホクシン、きたのかおり、きたほなみ)と春まき小麦(春よ恋、はるきらり)の畑が中心です。春まき小麦は、霜でやられるというのは本当に稀なので、早期に種まきしたいのが理由なのと、秋まき小麦は雪中の雪腐れ病発生の危惧と春先の追肥を早期にやりたいので畑を乾かす必要からです。といっても、雪の深さも関係するので、”まけば良い”ともなりません。コストもかかるし。ただし、去年の大雨(本別町は過去最高の1063mm!!!)は秋の土の水分もずいぶんのこってるんじゃないかなと思い、なるべく水が引くのを早くさせたい気持ちもあります。
朝の9時くらいまでは雪もカッチカッチで、何tもあるトラクターが走っても沈みもしませんが、正午近くには気温も上がって雪も溶け出しザグザグに。冬眠中の小麦をタイヤで引っ掛けたらマズイということもあって、午後はやらない判断もしました。でなかったらWタイヤにしなくても良いなと反省したり・・・
撒いたらこんな感じ。真っ白い雪のキャンバスにほんのりと色づけされているかんじ。これが太陽さんに当たって雪がグングン解ける原因になるんです。結果は10日もすればわかってきま~す。
ヤバ霜と発芽
前回の続きですが、ビートを3,4日土に落ち着かせたら、発芽してもらわないと困ります。
そんな時は散水するのみです。糖業会社の指導もありますが、10L/ポットの量の水をかけます。うちはひとつのハウスに600冊近くポットがならんでいるので、600冊*10L=6,000Lの水が必要になります。
自動散水機といって、ハウスエンドまでいくと、センサーを反応させて往復させます。
水は3000Lのタンクしかないので、2日に分けてやります。こちらのほうが、一気に水をすえないので1~2日あけたほうが水の浸透性は良い感じです。
それから、青いポールはプラスチックの棒で弾力性にとんていて
下の写真の保温シートをかけ、トンネルをつくります。ハウス全体に暖房のダクトを這わして暖かい空気の循環とトンネルをつくることにより、より均一な発芽にします。
あとは、極端な高温、低温に気をつけて発芽をまちます。
すると、3日後くらいには”ニュっ”と、第一陣目の発芽がみられます。
その日に夕方には、チラホラと発芽が見えてきます。
しかし、ここで大事件?発生!!それは8日の夜のこと暖房機具のコンセントをつけ間違え、零下18度のなかに・・・・。しかも9日早朝に限って、寒いのなんのって。朝、”おはようござま~す!”とハウスに入った瞬間そのピーンと張り詰めた朝の冷気に冷や汗がはしります。ヤバイ・・・。
保温シートを恐る恐るめくると、発芽したてのビートが一部褐色している、ガビーン!やっちまったと思いましたが、この時点では判断つかず、とにかく急激な温度変化だけはさけようと温風器の風とちょこっとだけシートのすそを空けて空気循環させました。
上の写真は、霜害(軽微)のもの。保温シート1枚あったのが助かりました。それとまだ寒さの入りやすい外周のポットは芽がでていなかったのも良かったです。”注意を怠るな!!”との神からのイエローカードをもらったんだと思います。
一番冷気がはいってくるところは、氷がはっていました。霜を超えて凍ってますので、発芽してたらアウトは間違いなかったと思います。今年の反省、早くも1。
11日には95%生えそろいました。霜害からの枯れもなく一安心。
12105人分のお砂糖の種まき
すみません。すごくご無沙汰してしまいました。
2月上旬にPCが壊れて、ブログのIDをそのまま紛失。
どうしていいのやらと時ばかりすぎて、2,3月と仕事準備や会議でいっぱい、いっぱい。
してました~。気を改めてやってきます。
今年もこの時期があっという間に来てしまいました。そうです、ビートの種まき期です。
うちは十勝でもは種はトップバッターの部類だと思いますが、2月27日から3月2日までの4日間。
22haくらいのビート畑の苗を準備しました~ぱちぱち。
工程をおさらいしましょうか?
1.”土いれ”一昨年より買土を使っています。これには肥料やpHのあらかじめととのったものを使用。ここまでは昔から自前でもやっていましたが、バーク(針葉樹のチップを利用した)堆肥といったものが混ざっています。これにより、土中に空気も含まれやすく、土オンリーよりもポットが軽くなります。1tパックで仕入れて秋口からハウス内で保管します。注:凍らすと大変な騒ぎになります。
2.その土を篩でふるってあげて、土の粒度を整えます。
3.土を紙ポットにいれます。うちには、もう30年以上も前につかっていたモーター(しかも100w)で2機の土つめ機(通称:ドン突き)でポットに土を入れます。目詰まりしやすいので、ドンっ!ドンっ!て突くようなかたちで土を筒にいれていくんです。注:このときの土水分は重要で、濡れ過ぎず乾き過ぎず。
4.紙ポットはどうなってるのか?これが面白いことに、アコーディオンのようにびよ~んと伸びるんです。伸ばすとそこには、蜂の巣状(ハニカム構造)になった1400個もの穴が誕生し、突起板といって同じ数1400個だけの突起(高さ1cmくらい)の板に紙つつをはめ込みます。
最初はこんなに平べったい。
”びよ~ん”とのばして
突起板にセット完了
5.それに3の工程の土を上からいれ、筒に満タンの土がはいったら別な鉄板をポットにのせ、機械で転地返しにします。逆さになった突起板を取り外すと1cmくらいの深さの穴があいているしくみ。
鉄板をのせて、反転機に移すところ
6.種おとし作業は、専用のプラスチック種板をつかって熟練のおばさんがいれていきます。一回に半冊分の700個の種をいれます。注:この作業をとちると大変な作業量になり、どうしても慣れた人にやってもらいたくなるのです。
7.種が一個づつ入っているかを要チェック!ピンセットで2個はいった種とか、ないところとかに種を入れていきます。”どう、ちゃんと卵(たねのこと)入ってる???”
8.覆土(ふくど)といって、種のふたとなる土(殺菌剤を混ぜたもの)で種床を覆います。
農大のおにいさん、おねえさんも手伝いにきてくれて、うちの子供たちも応援(じゃま)にきてます。
”どろんこ遊びっておもしろいよね~~~”とかいって。
9.完成したビートポットを運搬機でハウスの中に並べていきます。この際も散水機が十分にあたるように左右均等にならべます。それから通称”パオパオ”と意味不明な?被覆シートを全体にひいて完了です。
娘はすっかり理屈がわかってきて、保温+ラインとりの役目の発砲スチロール並べに参戦
10.最初の水浴びまで、3,4日間、土になじませるためにおいておきます。
昨年(平成21年度)は、1290t(原料)のビートが出荷されました。糖分17.8%で粗糖量がおおよそ230t生産できました。現在の日本人の砂糖一人あたりの消費量は19kg(昭和50当初は25kg近くだったようです)。だとすると、12105人分のお砂糖(粗糖計算だから厳密じゃないけど)を供給できたと思うと、うちってスゲェと思うか、まだ1万人弱しか砂糖を供給できないとかんがえるか?
砂糖も関税作物でいろんな制度にさらされ、守られてるなかの作付けとなりました。
今年も甘くて大きいビートになれよ~~~!