北緯43度に位置する北海道、札幌市。この地で、パン職人やフリーキーなパン愛好家たちの集まりがあり、勉強会に参加させていただいた。その名も”ベーカリークラブN43°”。その中のメンバー、パン講師の森本先生にご紹介いただきました。森本先生の教室についてはこちら。http://www.cafetablier.com/
今回は”ライ麦パンの世界”と題して、パンと人、文化のフィールドワークをしながら文献研究をされている舟田詠子氏を講師に、あるアルプスの小さな村でのライ麦と人々の密接な世界をお話いただいた。
舟田先生についてはこちら http://homepage.mac.com/diedonau/
山岳地帯の日照条件、酸性土、寒さも厳しいところは、やはりライ麦が適しているというより、保存性のよいライ麦や放牧での生活しかないのだろう。種まき、草取り、収穫、脱穀、保存、製粉、釜作り、パン作りまで、すべて人力作業。半年が深く寒い雪の季節なら、残り半年で一年を家族で生活するための食料を自ら確保する。
自給自足とはいっても、”パン(食料)だけは本当に大切”皆でわけ合うこと。皆で助け合って生活すること、作物に感謝し祈りをささげること。収量の良し悪しは、1年生命を維持できるかどうかにも繋がることに直結している事実。写真でみるかぎりは、美瑛の丘よりも傾斜がきつく、はっきりいって、トラクターも転げ落ちるくらいのところ。実際はマンパワーのみのようだけど、日本の棚田や区画の悪い、中産間地域と言われることろだってたいした変わらない。
問題なのは、文明の進化とともに文化が失われていくことなのかなと思った。地元にも”馬頭祭”という農事祭りがあるけど、昔は全て牛や馬がトラクター代わり。大木を引っ張り、畑を耕し、干草や農産物を運んだり。作物にも、動物にももっと感謝しなきゃならんと舟田先生のお話を聞いて思った。
ちなみに、ライ麦パンの試食も行なった。ライ麦の独特の酸味、食事パンとして定着は私的にはむづかしいかもしれない。食物繊維やカロリーは低い様子。写真はN43のメンバーや舟田先生の知り合いのパン屋さんがつくられたもの。
技術的なことや、パンの種類は全くわからないけど、なかにアーモンドみたいなものが入ったもの。
しかし、私の大好きなライ麦パンは後にも先にも、アメリカのアイオワ州でお世話になった農家の親父さんの特性ライ麦パンだ。人口70人程度の片田舎の農家兼民宿みたいなところに約一ヶ月バイトさせてもらった農家。ご馳走はといえば、唯一、親父さんデービーットのライ麦パンだった。なんとも、甘くてほんのり酸っぱい、出来立てのライ麦パン。ライ麦の比率は今思えば、少なかったのかもしれないけど、一生忘れられないライ麦パンだ。きっと、ドイツ系移民の家系だから、お母さんにライ麦パンを習ったにちがいないと、今日の講話を聞いて思いだした。
うちのライコムギはどうなのかな?いづれにせよ、パン自体も文化として根付くこと。それは農耕民族の歴史に違いない。