今年の失敗 ”春よ恋”の初冬栽培
初冬栽培って何?ですが
まず 普通栽培の仕方:
春まき小麦(ハルユタカ、春よ恋、ハルキラリ)は春に種をまくとされる。年が明けた春、4月上旬~中旬にかけて、種を播かれる。アメリカのハード・レッド・スプリングも文字通り硬質の赤色春小麦と言われ春先に播種される。ちなみに、ウインターがつけば、日本で言う秋播きのようだ。
一方、秋まき小麦(ホクシン・キタノカオリ)は収穫前年の9月中旬~10月上旬に播かれて越冬させたもの。北海道の9割は秋播き小麦である。
初冬栽培の仕方:
春まき小麦を秋播き小麦のように越冬させる。播く時期は雪のふる直前がよいとされる。なぜか?雪が布団かわりになり、種を零下で休眠させた状態にでき、春先の雪解けをまつ必要性がない。また、ハルユタカの最大の欠点でもあった、穂発芽やカビの問題を収穫時期、通常は10日から2週間程度収穫が早まることにより、8月中旬お盆あたりの収穫期に降る雨の被害を避けられることから、北海道でも雪深い札幌や旭川方面の道央地域で盛んな栽培方法。
初冬まきを十勝・本別でやったらどうなるか?適用できるのか、やってみた。
工程:
1.平成19年11月22日 会社横の圃場 7反 播種量19.5kg/反(通常1.5倍の播種量) 表土は少々凍結状態 パワーハローにて種が表土にでないよう、播種後に混和する。
2.同年11月28日ごろ、寝雪(雪が降って完全に大地を白く覆ってしまう雪のこと) 越冬開始
3.平成20年3月中旬 まだ種は発芽していない
4.同年20年4月19日 発芽したがふぞろい。どうみても3割もでてきていない。
同日の春小麦の断面:しかも発芽したやつも、表土3~4cmほどで、下の土からクラストが発生。下土と分離ているため、このままの成長が望めない状態。根が浮いている。
ほとんどは、発芽した段階で凍害にあってしまい、硬い種子から春先の暖かさで発芽したところに、朝晩のマイナス気温が発生。芽がでたところに凍ってしまい。凍死状態になったと考察される。
同日:やもなく廃耕にする、残念。播きなおし。
まとめ:
1.道央地帯のような寝雪と違い、十勝(特に本別町は雪が近年少ない)の寒さは越冬小麦には厳しい条件。特に春先の朝晩の凍結と日中の暖かさが、発芽した種子には厳しい条件下にある。よって、初冬栽培は不適と考える。
2.むしろ、雪が少ないことをメリットに、春先の早期は種に向けた圃場つくり(融雪散布、秋の排水対策など)を行い、生育日数の確保をしたほうが有利である。
試験場等では、品種格差もあるようだ。ハルユタカ>春よ恋で初冬まきに適するようだとの説明。しかし十勝の気候はいづれにしても寒すぎのようである。
「今年の失敗 春まき小麦 初冬栽培」への2件のフィードバック
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せっかく蒔いた「春よ恋」残念でした
同じ北海道でも地域によって気候がだいぶ違いますから
栽培方法も違ってくるのですね。
日々、研究し栽培されている様子が
とてもよくわかりました。
昨日今日と雨の量が多いので
畑の作物たちは喜んでいるでしょう。
街中で暮らしている人間は
晴れの方がいいのですが(娘はもうすぐ運動会だし)
雨が降ったら、作物たちのことを考えることにしています。
atsukomamさん
いつもメールありがとうございます!日高山脈越えたらやっぱり大幅に違いますよ!旭川のほうだって、ここから三国峠通ったら冬場の雪の量なんて半端じゃない!ここ北海道なの~って北海道民が言ってしまうくらい。
ある先輩農家は”農家は毎年1年生なんだ”って言ってました。私の目的は失敗談を伝えることで、もしかしたら別のアプローチを教えてもらえるのではないだろうかということと、後世か何年か後に教訓の一つとして残せれば、(うる覚えも多いのでPCに覚えておいてもらうのが本当のところかも)といったところでしょうか。温暖化で冬場の凍結がなくなったりすれば、より初冬まきのリスクが減りますし、逆に雪が多くなれば、上記技術をまた見直すきっかけになるかもしれません。絶対はないですよ、やっぱり。
家の娘も今週末、運動会ですよ。全道的に曇りのようですが、寒くてもなんとか雨だけさけたいですね~。