緑が肥しになる日

緑肥(りょくひ)とよばれる作物があります。
収穫するためのものでなく、田畑に有機物還元や特定の病害を防ぐ能力がある作物です。
その名も緑肥=緑の肥しそのものです。
主な緑肥には、ヘイオーツ、からし菜、ひまわり、ベッチ、クローバー、デントコーン、マリーゴールドなどなどがあります。ライ麦も直根の根張りが良く、硬い土盤を突き破るので畑家がふかふかになるそうです。
うちでは、好んでえん麦(サイヤー)という品種をまいています。
理由は其の一、育つのが早く有機物の還元性が高い。
畑も”ふかふかのベット”じゃないけど、重いトラクターやコンバインで踏まれて硬くなっている土をほぐす機能がかれらにはあります。
其の二は、豆類やジャガイモに寄生しやすいキタネグサレセンチュウ密度を低減させるためです。
センチュウとは、ミミズみたいな形の体長1mm以下のもので、そんな簡単に肉眼で確認はできない。
実際、実物は食害され病気にかかった株の状態でしかみたことない。
よく、野菜の根に根こぶができているものがあるが、あのこぶの中にはセンチュウの卵がうようよしていると聞く。
なんせ、これにかかったら大変。植物がちゃんと栄養を土から吸収できずに枯れたり、肌の悪い作物にしてしまう。
ということで、今年もまた小麦の後に播いてみた。えん麦8kg/反くらいを肥料と一緒に播きます。
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それから、ディスクといって重い円盤の力で、小麦の刈りとり株を根から着るのと同時に、えん麦の種を土に混ぜ込みます。
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そうすると、適当に発芽してきます。
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それから、今年の温かい気候に応援されてすくすくと伸び
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最終的には80~90cmくらいの丈までのびます。
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それを土の中で分解しやすいように、チョッパーで裁断します。そのまますきこむこともありますが、翌年の作物にガ腐る時のガスが影響して発芽問題になるとか、カルチで引っ掛けて作業性が落ちるとかの理由でやります。
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チョッパーされて、丸坊主したえん麦の畑は深耕爪で空気をいれたり、水はけをよくしてから畑をおこします。

でました~クロ4っつ!!

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しかも、今年初めての”気づき”がありました。莢が4つ分、ぼこぼこしてます。
“祝黒”とよばれる黒大豆に4粒を発見!!すげぇ~大豆って四つなるんだ~とうちの畑では過去に見たことがなかったのでうれしくなっちゃいました。枝豆だって、なかなか4粒のはとって食べたことないでしょう?
カールおじさんとかがでてきたくらい嬉しい出来事でした。
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途中、今年もこの一帯で大発生したマイマイガの大群に襲われたり、カナブンに葉っぱをおすそ分けしてあげたりとありました。また晩も温かい日が続いたため、大豆はグイグイ伸びたのです。
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上記は”止めカルチ”といって収穫しやすいように+根域の排水を促すため、培土(土を盛り上げること)しています。
ほんの1日や二日遅れていると、畝全体が大豆で覆われて、トラクターで処理しづらくなります。
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またこの頃には、根には根粒圏という世界が広がって、空気中の窒素を自らの養分にこたえられっル素晴らしい作物だ。
9月30日には、豆がすっかりふくらんで、紫がかったような豆が出来上がっていました。
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収穫は、10月15日からスタート。水分が19~22%まででしたが、2,3日晴れ間が続くと一気に17%くらいまで乾いていきます。そうすると、皮切れや豆の割れなどに影響してきます。ホントにベストタイミングとしたら2日くらいしかないのが大豆の難しいところです。

“ゆめちから”の力

日本のパン用小麦の自給率は1%以下。
パン用や中華めん用となるタンパクの高い強力小麦はそんなにないんです。
そこで登場するのが新品種”ゆめちから”
何度かブログでも登場していますが、”ゆめちから”の持つ潜在能力はかなり高そうです。
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見た目は硬質小麦らしいゴツゴツ系。小麦は見た目じゃありません。挽いて粉にナンボの世界。今回の戸別補償政策にも、パン用小麦の自給率を高めようじゃないか!!!という日本政府の意気込みを感じる政策価格が提示されました。
しかし、これで来年産からザックザック、パン用できるかなというのは早すぎます。
今年はこの品種は試験(北海道では・・・)。しかも他の強力系品種も種の供給が思うように進まず(今年の低収量から)、物凄いはずみにはあと2,3年かかると思われます。しかし、オカミ(御上)の姿勢は本気モードです。やっとパン用小麦生産農家の思いが伝わる気がしています。
さて、その”ゆめちから”を9月24日、7kg/反で播きました。
昨年産の感じからだと、以外に倒れないのですが、分けつした穂が混み過ぎるのを嫌ってと、貴重な種のひきのばし?を狙ってです。
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いつもどうりの”整地+種まき”合体型の機械で播種。
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種の深さもチェックして~っと。2cmくらいかな。
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やばぁ~途中で詰まってるぅ~。指導不足だな、反省です。傾斜や土の起伏は気をつけなきゃなりません。また機械の特性も知ることは重要です。
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でも大丈夫でした~!ふぅ(汗)。小麦が出てくるまでどう仕事をしたかは経験をつまないと分かりません。
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我が家の”ゆめちから”達。補足:実際もう一人います。
この小麦子の特性は?
その名のとおり、超強力粉なんですって。日本人の好きな”超”を入れちゃいました。
めっちゃ窯のびします!
パンも夢も希望も自給率も?超膨らませる!?魅惑の小麦が誕生します。
生産者もユーザーも国も皆がわくわくする小麦ですね~。
超膨らみすぎるのにお困りのあなた。ご安心を。”きたほなみ”で程よいバランスが保てるんです。

“きたのおとめ”って誰?

“きたのおとめ”と聞いて私?!と思ってはいけません。
それは小豆の品種のこと。北海道産小豆使用とか、十勝産小豆使用という言葉にはその裏もあります。
北海道を代表する”エリモショウズ”は、文字通り襟裳岬のような寒冷地でも立派に育つたくましさがある品種ですが、病気に若干弱いところがあり、まづ連作を続けるようなことはしません。きたのおとめも病気につよいといっても油断は禁物。
 ”きたのおとめ”はエリモショウズを母親に、父方に落葉病に強い製餡適正の高い品種。
今年はこの2品種を育ててみてました。きたのおとめは7年ぶりの畑。エリモは9年越しの畑をチョイスしてみました。
発芽して子葉の間から本葉がでてきてます。茎葉についている斑点は、雨ふったあとにはねた泥です。
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途中3度のカルチといって除草作業を機械で行い・・・。雑草を取るのと、水はけを良くするよう心がけますが、機械処理ですので、運転の仕方や機械の調整によっては大失敗することもあります。土の水分、雑草の草丈や種類、その後の天気と作物の成長などいろんな要素の組み合わせがあって最終的な評価になる作業です。
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援農さんのベテランパートさんに2回圃場の草取りをしてもらいました。
この作業は今年大変きつく、まず急激に6月から暑い日が続き、さらに雑草の成長スピードもかなりの速さ。
広い畑を一歩一歩確認、雑草を確認しながらの作業です。収穫を楽しみにしなければなかなか続かない仕事です。
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黄色い花が咲いたら、莢がつきだすサイン。小豆は大豆や金時と違い、長時間にかけて花が下にも上にもつきます。
今年は暑いせいなのか、莢つきは多く、しかしながら莢の長さが短い感じ。
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平年よりも10~15日くらい早い成長をみせて、あっという間に畝がふさがってしまった感じ。
晴れた日が大好きな豆類なので受粉時期に晴れているのは最高。でも暑すぎて熟期まで早まってしまうのでした />
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莢の中の種もすっかり赤味を帯びて、美味しさを感じます。今年は実は熟して、茎葉が青々とした収穫となりました。
それは次のレポートで。これがきたのおとめちゃん。食べたくなるくらい可愛いでしょ?
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