幸運の”ゆめちから”収穫を麦師たちと共に!!

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7月23日。天気予報では曇り雨曜日とのことでしたが、奇跡が起こりました~パチパチ~。24,25が曇り傘模様の予報ともあったり、うちも品種がいろいろあって掃除に何時間もかかるため、満を持さなきゃなりません。この時とばかりに2010麦刈りの始まりです。
 しかも応援にシニフィアン・シニフィエの志賀さん、ラ・テールの栄徳さんらも駆けつけてくれました。かなりの晴れ男達とBCキャンプでも噂になってます(謎)。十勝BCキャンプの講師を前日の二日間行い、チャンスがあればと思っていましたが本当にその日が来るとは思いませんでした。奇跡の天気にも最高に恵まれよい思い出になりました。遠いところ足を運んでいただき、誠にありがとうございました。
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 ということで”ゆめちから収穫いきま~~す!!”
といっても、去年の悪天候の痛手(特にキタノカオリ事件が痛かった~)で、コンバインのロクロク(66)は大変なことになっていました。それはそれは可愛そうな、土の塊やら春小麦のヒゲやらカピカピになった茎やらありとあらゆるものが腹の中にたまっていました。それを根気よく力ずくで除去し、事前に掃除・掃除の後のこと。機械の中は大変狭く、メタボってしまうと非常にやりづらくなります。
目の前の”ゆめちから”畑に出陣です。早速試し刈り。何度か粒が未脱穀がないかを確かめながら進ませます。早速トラブル発生。コンバインには刈り取り部分をヘッダー(頭)といい、こちらにクルクル回転するリールという装置がついています。小麦を掻きこむ役目があるのですが、これは小麦が倒れている時やスムーズな穀物の飲み込みには欠かすことのできない装置です。昨年は小麦の倒れがひどく、リールを前に押し出したまま長時間使用したため、駆動しているベルトが伸びに伸び、リールが回らない状態に。最初我慢しよう!と思っていましたが、結局この後のことも考えると修理せざるおえませんでした。
 早速、シニシニの志賀さんにコンバインにのってもらいました。地上からみるのと実際にコンバインにのるのとでは風景が違います。実際に小麦収穫のタイミングに会うなんて、さすが麦師として”もってるな~”と思いました。
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 こちらラ・テールの栄徳さん。どうやら全国各地の麦畑を行き来したり、フランスの圃場まで行ったりと現地現物にこだわる若手職人さん。コンバインにも何度かのったことあるようで手慣れた感じでした。
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 喜んで運転しているのは各店舗のスタッフさん。”きゃっきゃっ”言って麦刈を楽しんでもらいました。
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 ちなみにシニシニの志賀さんには、当農場の”春よ恋”で”花豆のブリオッシュ”を作っていただいております。
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こちらの商品は伊勢丹・新宿店の夏のお中元にもなりました。(7月19日販売終了)。
私は素人なんでわかりませんが、お菓子=薄力・中力粉とイメージしがちですが、タンパクの高い春よ恋でもこういったお菓子ができるんですね。
 美味しすぎます、こちらの春よ恋のブリオッシュ。
粉に合わせ、その小麦にあったたお菓子やパンができる職人って凄い!!というよりも毎年やその都度変化している粉に合わせたパンやお菓子づくりができる世界が当たり前なんだと言ってくださる麦師たち。感謝・感謝です。
またベーカリーキャンプ2010には妻も参加させていただきました。
どうやらその模様がブログになったようです。こちら→”ぽんぺつTable’s
 

”ベーカリーキャンプキャンプ2010in十勝”へようこそ!!

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7月20日、それはそれは暑~い日のことでした。
”ベーカリーキャンプ2010in十勝”小麦畑ツアーの始まりです。
このキャンプというか、ツアーも大変時間にタイトでぎっしり畑から次の日以降のプロによるパン作りまで、忙しい内容になっている模様。
うちの担当は午前中。
今回は、新品種”ゆめちから”と”きたほなみ”それからうちのリーサルウエムギ(ポン)の”ライ小麦”の紹介をさせていただきました。
去年にも晴天に恵まれ、暑すぎるツアーに参加された方には大変お疲れさまでした。
少しでも我々の農業が伝わって、”食”の現場が田舎に残っていることを実感していただけたらと思います。
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 前回の予告では”畑で歌をうたおう!”とありましたが、何のことかといいますと”ゆめちから”には歌があるんです。単一小麦の歌ですよ~おそらく世界初の試みなんじゃないでしょうか。此間のアメリカのブリーダーの方も”That’s fantastic!!””お土産話にするよ!”なんていってたので、これから世界各地で小麦の歌が登場しちゃうかもしれません。
 その真面目なそして、内容の深~い歌詞に聞き惚れてください!
その局はなんとユーチューブでも視聴できます!
こちら→”ゆめちから”のテーマソング
 中でも”♪る~る~る~る~ほなみとゆれる ゆめちから~♪”のほなみ=きたほなみで要はゆめちからは超強力粉なので、きたほなみとブレンドすることにより、よりお互いの長所を出しあえ、畑で仲良く揺れていきましょう!という粋な計らいがされています。現実そういうブレンドができるはずです。
 ということで、前置きながくなりましたが、うちのゆめちから畑も、きたほなみ畑と隣り合わせていたのでこの歌詞に、そして近未来の新小麦ブレンドとして最適地だと思っていました。しかし、企画会社がラジカセを忘れる痛恨のミスを犯し、さすがにアカペラでは関係者しか歌えません。このツアーの唯一の反省点でした。まっ、いいや、コンバインの中で歌います・・・。
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 トラクター試乗もしてもらいましたよ~。もっと時間があったら良かったのに~。此間JA青年部でも小学生にのってもらい、爆音を聞いて喜んでもらいまたからね。
ちなみにこちらの可愛い女性陣は千葉県船橋の”石窯パン工房ピーターパン”の研究熱心なスタッフさんたち。当農場の”春よ恋”の角食パンも好評いただいています。今回3回目の方もいたりして、すっかり十勝に馴染んですごく身近に感じてもらっていると思います。麦畑とパン職人たちが身近になれば、勝手に自給率も上がり皆が喜んでくれますよね。
 ツアー参加者の職業がほぼパン屋さんだと思い込んだ話をしてしまいましたが、一般の方はもりとん、流通、製粉会社、観光ツアー会社、加工研究の方とさまざまな方の参加があり、連携していけばすごく魅力的な産業に農業が思えたのも事実です。
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 ライ麦×小麦=ライ小麦も紹介させてもらいました。おそらく日本で初めて春まき性のライ小麦を栽培していると思います。過去二年、どうにも苦労した割に実にならないというか、障害が多いので今年どうにかしたいです。これから乳熟、成熟期にかけてもケアをしてどうにか、パン屋さんやお菓子屋さんに新しい食感や商材として提供したいと思います。
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 それから乾燥や調整工程の説明をし、”GM小麦が世界を席巻する時に国産小麦の行末はどうなるんだろう、ただでさえ農家の高齢化と若手不足なのに~”と消費者参加型農業になれば現場意識も変わって良くなるんじゃないかと思っていることを聞いていただきました。すごく長話でわけわかんないこともあったと思います。”農地は国からの借物、農家がしっかりと管理人として農産物を国民に供給しなきゃならない”とある農家の方も言ってました。その通りだと思います。
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最後に、間もなく120%大活躍してくれるはずのコンバイン”ロクロク(66)”の前でパチリ。皆さん、足を運んでいただき誠にありがとうございました。

小麦畑で歌をうたおう!!十勝ベーカリーキャンプ2010開催!!

”ベーカリーキャンプ2010in十勝”が7月20日から23日まで今年も開催されます。
そもそも”ベーカリーキャンプ”って何?
という方もいるかと思います。
今年も東京のシニフィアンシニフィエの志賀さん、ラ・テールの栄徳さん、
それから、函館の粉ひき小屋の木村さんに、地元帯広のはるこまベーカリー栗原さんとパンの師匠たちが十勝にやってきて、十勝の小麦を創造していく参加型イベントツアーです。詳しくはこちらの案内をごらんください⇒”ベーカリーキャンプ2010in十勝
7月20日の小麦畑巡りツアーは参加者ツアーは当農場によってもらえます!
といっても、十勝に入ればそこらじゅうに小麦のじゅうたんはひいてあるので、目ずらしくもなんともありませんが、収穫直前の小麦を見るには最高のチャンスです。
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こんな小麦とか・・・
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こんな小麦が見て来てさわりまくれま~す!!
 うちでは、”小麦の歌”?!を青空の下、声高らかにうたってもらえたらと考えています。なんだそれ?という方は、是非来てください。ツアー以外の方でもゲリラ参加していただいてかまいません。
日時:7月20日AM10:00~11:20 前田農産にて
畑だけでなく、パン作りを楽しみたいという方や興味のある方もこの機会に是非参加を。定員すぎてるかもしれませんが・・・
2009(昨年)のベーカリーキャンプの様子はこちら
昨年は、春小麦の新品種”はるきらり”とパン用小麦の決定版”春よ恋”との味比べを行いました~。暑かったな~あの日。あの日から小麦収穫終わるまで夏の日差しはなかった気がする。貴重な晴れ日でした。
“ガチン粉対決 春よ恋vsはるきらり 予告編
“ガチン粉対決 春よ恋vsはるきらり 本編”
”ガチン粉対決 春よ恋vsはるきらり 結果発表~!”

Breeding Spirits

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7月上旬に、北海道農業研究センターのワークショップに間違えて?参加してしまった。なぜ間違いか?というと、1.育種にかかわる技術者達の集いであること。2.ワークショップは全ての工程を英語で行うため、より理解が困難なことである。
一般的なことならまだしも、生物学や植物遺伝子やでんぷん質の種類のことをたとえ日本語で言われても、”なんのこっちゃら、ちんぷんかんぷん”になるのは想像しやすいと思う。留学初期の授業で、映画のスクリーンのように英語の授業が目の前で展開され焦りまっくた時期を思い出した。
 
 一番恥ずかしかった思い出は、”earth worm(ミミズ)”という発音を”ass-hole(ケツの穴;くそったれ”と授業で連呼してしまい注意されたことだ。私は本気だったのに・・・。発音には注意しましょう。また税関で、風薬をもっていたのに、”ドラッグ!”と言って連行されていった友人もいた。日本ではドラッグストアが当たり前だが、海外では通用しない。
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話はこのワークショップのことだが、二日間にわたり育種から、加工食品への機能性やでんぷん利用加工についてと話は多義に渡った。例えば、製粉会社にとっても日本の自給率にとってもよいとされる、胚乳部分(製粉効率の良い)の多い”きたほなみ”の顕微鏡写真。左の農林61号(本州ではメジャー品種)と比べても、外皮が薄い。
ホクシンと比べても、製粉部止まりは高いようで日本の大方のうどん原料に使われているオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW)に匹敵、それ以上といわれているようだ。
 育種の世界は奥が深いというか、地道な作業の積み重ねだと感じた。膨大な品種の掛け合わせの中から、消費者+加工業者+製粉会社+農家と時代の背景もふまえ、あらゆる側面から次世代の小麦やジャガイモの育種をしていくわけだ。研究者の方も生涯に1品種デビューさせられたら良しとしなければならない世界だと思った。
 例えばアメリカの”HRW”の銘柄には、何十種類の小麦の品種から地域や農場の土壌条件にあった小麦を播くようで、中には二品種以上を同時に混藩する例もあるとか。要はHRWの品質基準にあったタンパク値やFN値があれば良いのだという。
ということは、小麦の肌や顔(形)は当然違ってくるはず。日本では、拝見検査といって”見た目”で1等と2等とがある。硬質小麦はたいていの場合、形がいびつ(モアイ像みたいな感じ)で最初から2等とレッテルをはられる可能性もある。問題は、顔じゃなく中身の性格のはずなのに・・・・。この問題は解決することはないと思うが言ってみた。
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 それから、アメリカの巨大メジャー種苗会社が今後考えていることをアメリカ研究者の方に聞いてみたら、”耐干ばつ性の高い遺伝子組み換え小麦”という言葉が返ってきた矢先の農業新聞の記事。その通り、10年後にはGM小麦できてます。入ってきます日本にも。自給率14%くらいしかない我が国に選択の余地はないと思う。世界人口増、水資源枯渇による干ばつ対策は待ったなし。というのが輸出国のアンサーなんでしょうね。
 その時にもまだ、国産麦を愛してやまない消費者と加工者、生産者と育種者がいればいいな~~。